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相続税を減らす生前の不動産対策

相続税を減らす生前の不動産対策

曽根 恵子 (著)

2014年12月16日発行

相続が発生しそうな状況にある人の中には、このような不安を持つ人も多いのではないでしょうか。

  • 相続対策はどのように進めればいいのかわからない
  • 相続税を抑えるための最適な方法を知りたい
  • 誰に相談すればいいのかわからない

相続対策の肝となるのは、相続財産と評価額を把握することです。また、相談先としては、不動産の専門家が最適と言えます。

この記事では、相続対策として押さえておくべきポイントや、相続税の節税に成功した事例などについて解説します。

相続税法の改正内容

国は相続税の徴収を強化する方針を採っているため、2015年1月に改正相続税法を施行しました。改正のポイントは以下の通りです。

  • 相続税の基礎控除額を引き下げ
  • 最高税率を引き上げ

改正前の基礎控除額は「5,000万円+法定相続人の数×1,000万円」でした。しかし、現在では「3,000万円+法定相続人の数×600万円」に引き下げられています。また、最高税率も50%から55%に変わっています。

相続対策のポイント

相続対策は「税金がかからなければそれで良い」というものではありません。残された財産を巡って遺族同士の争いとならないよう、配慮も必要です。相続対策を始める前の確認ポイントについて解説します。

相続人の把握

相続対策は、相続財産だけではなく「誰に相続の資格があるのか」も確認することが重要です。また、相続人の家族や経済状況などについても確認を要します。各相続人の状況を把握できれば、感情的な配慮が可能です。

相続財産と相続税額の確認

相続人の把握に続き、相続することになる財産と課税される相続税額も確認を要します。相続財産は4種類に分類します。

 
1.プラス評価の対象となる財産
 土地や建物・預貯金・有価証券など
2.マイナス評価の対象となる財産
 借入金や未払金など
3.みなし財産
 生命保険や退職金など
4.贈与財産
 相続時精算課税制度の対象となる財産

財産所有権などの整理

例えば不動産を相続するならば、担保設定や連帯保証などが設定されたまま相続するのはおすすめできません。相続手続きが複雑になってしまうためです。また、共有している不動産がある場合は、早めに共有を解消するのが賢明です。

遺産分割・相続税納税用の現金を準備する

相続税の納税には一括現金納付を求められます。また、遺産分割に現金を要する場合もあるので要注意です。必要額をあらかじめ把握しておき、納税などに困らないよう現金を用意しておく必要があります。

遺言書で財産の分け方を決めておく

相続人同士による遺産分割協議がまとまらなければ、節税もできなくなってしまいます。協議がまとまらないと、相続の準備をした意味がありません。相続の準備を形にするためには、遺言書の作成が必要です。

相続税を節税するための基本的な考え方

相続税を節税するための基本的な考え方について解説します。重要なポイントは、財産の評価額を把握することです。

財産と評価額に着目する

相続税を節税するためには、「財産を減らすこと」と「評価額を下げること」に主眼を置いて対策することが重要です。相続税の税率は累進課税なので、課税対象額が多くなるほど税率も高くなります。

財産を減らせば課税対象額を減らせます。また、不動産の現金購入などによって評価額を下げることも重要です。評価額を下げれば、税率も下げられます。

相続財産の評価とは

相続財産の評価を下げれば、相続税対策になりますが、相続財産の評価額はいつのものが採用されるのか、疑問に思う人もいるのではないでしょうか。相続財産は、被相続人が亡くなった日の時価で評価されます。また、国税庁は相続財産ごとに評価方法を定めています。

・預貯金
 相続開始当日の残高+経過分の利子
・生命保険(死亡保険金を除く)
 解約返戻金
・建物(賃貸している場合)
 固定資産税評価額の70%
・宅地
 市街地は路線価方式・郊外地は倍率方式

なぜアパート経営が相続対策になるのか

地主の人に相続対策としてアパート経営を勧める不動産会社は多いものです。アパート経営がなぜ相続対策になるのか、疑問に感じる人もいるでしょう。

土地の相続税評価額は、所有権や建物の有無などによって異なります。更地にアパートを建てて賃貸経営すると、その土地は「貸家建付地」となり、以下のように評価されます。

 更地状態の評価額 - (更地状態の評価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

借家権割合は、全国一律で30%です。借地権割合は土地によって異なります。賃貸割合とは、貸出戸数が全戸数に占める割合のことです。例えば元々の評価額が1億円で、借地権割合が60%の土地にアパートを建てて満室経営すると、評価額は以下のように計算します。

 1億円 - (1億円×60%×30%×100%) = 8,200万円

もとは1億円と評価されていた土地にアパートを建てて満室経営することで、評価額が1,800万円下がります。これがアパート経営による節税対策の基本的な考え方です。

なお、アパート経営で節税対策する場合には、稼働率を上げておかないと相続人に負担がかかります。稼働率が低いと相続税評価額が下がらない上に、毎月赤字を計上することにもなりかねません。

赤字経営のアパートを相続すると、税金を減らして相続人の負担を軽減するためのアパート経営が、お金を支出する原因になってしまいます。

相続税を節税できた事例

不動産に関する相続税対策が成功した事例を1つご紹介します。ご紹介するのは、評価額の違いに着目した結果として節税できたものです。

老朽化した建物を不動産鑑定評価によって減額

Aさんの父親は会社を経営者でビルを所有していましたが、相続対策を何もしないままに亡くなられてしまいました。Aさんが相続したビルは駅から近く、固定資産税評価額は約2,300万円です。

しかし、ビルはRC造の建物であるものの老朽化が進んでおり、不動産市場に出して2,300万円もの値段がつくとは思えない状況でした。そこで、不動産鑑定士を入れて鑑定評価を算出したところ、評価額は1,300万円となりました。

通常、不動産に対する相続時の評価額は市場価格よりも低いものです。しかしAさんの場合は市場価格よりも評価額のほうが高い状態でした。このため、Aさんはビルを売却することによって、節税する方法を選びました。

相続は不動産の専門家に相談するのが得策

相続税対策には複数の方法がありますが、節税効果が最も大きくなるのは、不動産を用いた対策です。不動産は金額が大きいので、大きな節税効果を期待できます。このため、相続対策を考えるのであれば、不動産の専門家に相談するのが適当です。

しかし、多くの人は弁護士・税理士・信託銀行などに相談を持ちかけます。弁護士や税理士などは、いずれも不動産の専門家ではないうえに、相続対策の実務経験がそれほど豊富ではありません。

相続対策は生前贈与・収益不動産の購入・法人設立など複数の方法を組み合わせて行うものです。最適な組み合わせは人によって異なります。このため、相続対策を万全にするためには、親身になって状況を聞き取ってくれる不動産の専門家を探すことが重要です。

まとめ

相続税を節税するための対策として最も重要なポイントは、状況把握と評価額の確認です。ご紹介した事例のように、財産の評価額と市場価格とに大きなギャップがあることは、めずらしくありません。また、財産の種類によって評価方法は異なります。

なお、相続税対策として最も効果が高いのは、不動産を活用した方法です。このため、相続税対策について相談するのであれば、不動産の専門家が最適な相談先となります。


【関連リンク】その他の本はこちらからご確認ください。



相続税を減らす生前の不動産対策

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2014年12月16日発行

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監修者プロフィール

  • 人物

    小川 進一

  • 氏名

    小川 進一

  • 保有資格

    • ・(公認)不動産コンサルティングマスター

    • ・相続対策専門士

    • ・不動産エバリュエーション専門士

    • ・宅地建物取引士

    • ・賃貸不動産経営管理士

    • ・定期借地借家プランナー

  • プロフィール

    不動産一筋35年!成約件数述べ5,000件以上。
    自身も都内に複数所有している実践大家。

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