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不動産投資を事業経営に変える!!資産形成術

不動産投資を事業経営に変える!!資産形成術

ルー大谷 (著)

2010年10月2日発行

世間には「不動産投資など素人には成功できないからやめておけ」という人もいます。これは、不動産投資の世界は知識や経験が豊富な玄人に有利なものであり、素人は玄人にかなわないという考え方からきているものです。

しかし、裏を返せば知識をつけて経験を積んでいけば玄人にも対抗できると考えられます。知識をつけて成功経験を積んでいくためには、単なる投資ではなく賃貸経営事業として不動産投資に取り組むことも必要です。

この記事では、投資エリアや物件の選び方から融資戦略に加え、不動産投資を事業と捉えるにあたり重要な考え方などについて解説します。

失敗しない物件のロジカルな選び方

不動産投資の初心者には特に、どんな物件を購入したらよいのかわからないと悩む人も多いのではないでしょうか。著者が基準としている投資エリアや物件の選び方について解説します。

物件を購入するエリアの選び方

投資用物件のエリアを選ぶにあたり、参考となる指標の1つは人口に関するものです。人口が少ないエリアでは賃貸住宅のニーズがないため、空室による失敗を防ぐためには人口が多いエリアまたは人口が増えているエリアの物件を選ぶ必要があります。

首都圏とも呼ばれる一都三県には日本全体の人口のうち約28%が集中しており、2番目に人口が多い近畿地方には日本全体の人口のうち18%の人が住んでいます。首都圏とその他エリアとの人口差はとても大きく、首都圏は統計的に最も低リスクのエリアと言えます。

なお、2015年~2060年の予想人口減少率を見ると、首都圏の中でも千葉県と埼玉県は30~31%ですが、東京都は13.2%で神奈川県は17.1%です。物件の長期保有を前提とするのであれば、東京都内または神奈川県内で物件を選ぶのが低リスクと言えます。

ただし、地方都市在住で地元に詳しいという場合は、地元で物件を探す方が安全な場合もあります。地方都市の物件は価格が安く利回りが高い上に、投資用物件を購入する時には現地を視察することが重要だからです。

物件選びの判断基準

東京都内もしくは神奈川県内で物件を探すのが安全と解説しましたが、東京都と神奈川県には非常に数多くの投資用物件が存在します。具体的にはどのように物件を選んだらよいのかわからないという人もいるのではないでしょうか。物件選びのグランドルールとして、著者が自ら設定している条件は以下のようなものです。

  • 一都三県の中にある物件(地方在住者の場合は人口100万人以上の大都市圏内が適当)
  • 単身者用物件であれば駅から徒歩10分以内
  • ファミリータイプであれば駅からの距離に関わらず全戸分の駐車場がある物件
  • バス・トイレ別の物件(独立洗面台があればなお良い)
  • 土地は所有権(借地権の物件はNG)
  • RC造の物件で築古の場合は4階建てまででエレベーターNG

不動産投資初心者の場合は、上記の条件を不動産会社に伝えたうえで様々な物件の情報に触れてみるのがおすすめです。物件情報に触れたり現地を見に行ったりすることで、自分なりの基準を考えることが重要になります。

出口戦略の考え方

不動産投資では、物件を売却することによって利益を最終的に総括することを、「利益を確定する」または略して「利確する」などと言います。不動産投資で得られる利益には、家賃収入(=インカムゲイン)と物件の売却益(=キャピタルゲイン)の2種類があるからです。

物件の売却益が出たかどうかに関わらず、家賃収入と物件の売却益とを合計して初めて全体的な利益を算出できるということです。

このため、物件を選ぶ時点で売却まで想定し、物件を購入してから売却までの全期間における利益を計画することが重要になります。また、物件売却によるものまで合計して利益計画を立てることを「出口戦略を立てる」と言います。

著者はどんな物件を購入する時でも、物件を購入してから10年後に売却する前提で出口戦略を考えます。実際にすべての物件を10年後に売却するわけではありません。しかし、場当たり的に物件の売却について検討するよりも、あらかじめ計画を立ててある方が売却の有無について判断しやすいものです。

出口戦略を立てるためには、まず10年後の売却価格を想定します。売却価格を想定するに当たっては、新築物件に投資するのであれば近隣で築10年の物件を探し、同程度の利回りを参考にしたうえで物件価格を逆算します。

なお、家賃については年間の家賃下落率を1%と仮定して、現在の想定家賃または実際の家賃から差し引いていきます。そのほか、想定される管理諸経費・想定空室率から算出される損失・固定資産税などを経費として利益から差し引くことも必要です。

これらの数字を合計すると、その物件に投資すると最終的にいくらの利益が残るのかを計算できます。

投資規模拡大のカギとなる融資戦略

不動産投資の規模を拡大していく上では、ローンについて理解することが重要です。融資戦略についてポイントを解説していきます。

融資元を開拓するためには信用金庫を当たる

不動産投資の規模を拡大するためには、金融機関のローンを利用することが不可欠です。しかし、どこの金融機関であればローンを利用できるのかわからないという人も多いでしょう。

不動産投資のローンを開拓するためには、信用金庫を当たるのが適切です。金融機関にはメガバンク・地方銀行・信用金庫(信用組合)など複数の種類があります。しかし、メガバンクや地方銀行は営業範囲が広範囲にわたっており、資産規模の小さい個人投資家などにはあまり融資しようとしません。

その一方で、信用金庫や信用組合は営業範囲が地場の企業や個人に限定されるため、創業間もない零細企業や個人の投資家であっても経営支援のために努力してくれます。

不動産会社に任せきりにしない

実際に物件を購入することになると、仲介を担当する不動産会社が窓口となってくれることもあります。しかし、不動産会社は融資のプロではないという認識が必要です。

不動産会社が紹介してくれるのは、基本的に自社と付き合いのある金融機関だけです。そして、その金融機関が購入しようとしている物件に対して積極的に融資してくれるかは、審査を受けてみないとわかりません。

金融機関の得意分野と購入する物件の特徴とが合致していないと、明らかに築浅物件であるにもかかわらず、高金利・元利均等返済など不利な条件を提示されることも起こり得ます。

良い物件の購入は特に買い付けを入れるまでのスピード勝負となるため、不動産会社に頼らず、投資家が自ら金融機関を開拓しておくことが重要です。

単なる投資ではなく事業として経営する

長期的に不動産投資を続けていく上では、不動産投資を事業経営としてとらえることも必要です。事業としてとらえたときの考え方や、法人を設立するメリットなどについて解説します。

長期的な経営計画が重要

不動産投資を事業経営として考えた場合に重要なポイントは「自己資本比率」です。自己資本比率とは通常法人の経営状態を判断するために用いられる指標であり、法人が保有する資本のうち自己資本が占める比率のことを指しています。

不動産投資では、現在手元にある自己資金と物件が生み出す利益を最優先にして、金融機関のローンを利用することで事業規模を拡大していきます。しかし、ローンを利用しすぎると自己資本比率が極端に小さくなるため、経営の安定性という面では不安が大きいものです。

経営の安定性を確保するためには、投資規模が一定以上の水準に達した時点で物件を入れ替えるまたはローンを繰り上げ返済することにより、自己資本比率を高めていくことが必要になります。

経営の安定性を確保するためには会計の知識なども必要になるため、税理士を頼るとしても投資家が自ら勉強する必要があります。

法人を設立する

不動産投資を継続的に進めていく予定があるのならば、早い段階で法人を設立するのがおすすめです。賃貸経営業を営む法人を設立すれば、投資規模を拡大した時に個人事業主と比較してメリットが多くなります。法人を設立する主なメリットは以下の通りです。

  • 個人事業主よりも経費にできる費用の幅が広い
  • 9年間にわたって赤字を繰り越せる
  • 2期連続で黒字決算を達成すれば法人名義で融資を受けられる

個人事業主が確定申告で経費を計上するためには、経費と売上との紐づけが必要です。しかし、法人の場合は逐一売上と紐づけなくても経費を計上できます。例えば携帯電話の利用料金などについても、個人使用による料金と案分して最大で6割程度までなら経費計上が可能です。

また、法人は9年にわたって損金を繰り越せるため、仮に1年目が赤字になったとしても9年以内に黒字経営を達成すれば、発生した赤字と黒字とを相殺できます。例えば法人を設立した年に物件を購入できなかったとしても、発生した経費を赤字として繰り越せば、後に発生した利益と相殺可能です。

そのほか、法人として24ヶ月以上黒字期間が連続していれば、金融機関の融資対象としてテーブルに乗せられます。最初は連続して黒字を出すのが難しいかもしれませんが、経験を積んでいけば黒字化は達成できるので、あらかじめ法人を設立しておくことは無駄にはなりません。

まとめ

不動産投資を長期的に継続し投資規模を拡大していくためには、賃貸経営事業と捉えて投資を進めるとともに、物件選びや出口戦略などについて自分なりの基準を設定することが重要です。

また、事業経営として進める上では早期に法人を設立するとともに、投資規模が一定以上に達した時点で自己資本比率を高めていくことなども必要になります。



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監修者プロフィール

  • 人物

    小川 進一

  • 氏名

    小川 進一

  • 保有資格

    • ・(公認)不動産コンサルティングマスター

    • ・相続対策専門士

    • ・不動産エバリュエーション専門士

    • ・宅地建物取引士

    • ・賃貸不動産経営管理士

    • ・定期借地借家プランナー

  • プロフィール

    不動産一筋35年!成約件数述べ5,000件以上。
    自身も都内に複数所有している実践大家。

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