マンション投資基礎知識

不動産投資で融資は厳しい?:金融機関の融資姿勢と融資を引き出す対策について解説

不動産投資で融資を利用したい人の中には、以下のような疑問や不安を持つ人も多いのではないでしょうか。

  • 不正融資問題などを経た今、金融機関は不動産投資に融資してくれるのか?
  • 自分は不動産投資の融資を受けられるのか?
  • 自己資金がなくても不動産投資はできるのか?
  • 融資を引き出すための具体的な対策を知りたい

金融機関は不動産投資に対して融資しなくなったわけではありません。しかし、近年では融資に対する姿勢を厳しくしています。また、融資に際して自己資金を求められることも多いです。その一方で、融資を引き出すための対策や、狙い目となる金融機関も存在します。

この記事では、金融機関の不動産投資に対する融資姿勢や、投資家が取り得る対策などについて解説します。

不動産投資で融資を受けるのはどれくらい厳しい?

不動産投資の不正融資問題がメディアを賑わせて以降、不動産投資で融資を受けるのは厳しくなったと言われています。実際にはどれくらい厳しいのか、疑問に感じる人もいるのではないでしょうか。不動産投資の融資環境について、データを用いて分析します。

融資に積極的な金融機関は減っている

金融庁が2019年3月に発表した調査結果によると、各金融機関の不動産投資向け融資実行額は、2017年をピークとして以降、減少傾向にあります。案件の積み重ねに伴い融資残高は増えていますが、増加のペースは2018年以降鈍化している状況です。

※引用:金融庁 投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果について
https://www.fsa.go.jp/news/30/20190328.html

また、各金融機関の不動産投資に対する融資態度は以下のように変化しています。

※引用:金融庁 投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果について
https://www.fsa.go.jp/news/30/20190328.html


時期を追うごとに消極的な金融機関が増え、自然体もしくは積極的な金融機関が減っている様子が伺えます。その一方で、「実行せず」と回答している金融機関の割合はほとんど変わっていません。

金融機関が融資をしなくなっているというよりは、審査は受け付けるものの積極的な融資はしない金融機関が増えている状況です。具体的には、自己資金の投入を求めるケースが増加・利率引き上げなど融資条件の厳格化といったケースが考えられるでしょう。

コロナの感染拡大が続く2020年の状況は?

2020年はコロナの感染拡大によって、世界経済が大きなダメージを受けています。こうした中で不動産投資向けに金融機関が融資してくれるのか、疑問に思う人も多いのではないでしょうか。日本銀行の統計によると、金融機関の不動産投資向け貸出額は、以下のように推移しています。

※参照:日本銀行
https://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/cgi-bin/famecgi2?cgi=$nme_a000&lstSelection=LA01

※貸出額は100万円単位

国内銀行および信用金庫とも、新規貸出額は増加と減少を交互に繰り返しており、2020年もその傾向は変わっていません。しかし、2020年3月から6月の減少幅は2019年までの推移よりも大きいです。

2020年4月に緊急事態宣言が発令されて以降、夏までの間に不動産市場全体で取引件数が減ったので、貸出額の減少は取引件数と連動した動きとも考えられます。新規貸出額の統計は四半期に1度発表されるので、9月以降の動向には注意が必要でしょう。

ちなみに、グラフ全体で見ると右肩下がりになっているため、新規貸出額の推移は、金融機関の融資態度が厳しくなっている実態を反映していると考えられます。

自己資金がなくても不動産投資はできる?

不動産投資を検討している人の中には、融資を利用してできる限り自己資金を抑制したいと考えている人も多いでしょう。融資に消極的な金融機関が増えている中で、自己資金がなくても不動産投資はできるのか、統計の分析によって検証します。

※引用:金融庁 投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果について
https://www.fsa.go.jp/news/30/20190328.html

こちらは、金融庁が金融機関向けに行なったアンケート調査の中でも、自己資金について尋ねたものです。自己資金の投入を全く求めない金融機関は5%〜13%にとどまっており、15%前後の金融機関が必ず自己資金の投入を求めると回答しています。

また、不動産投資と収益物件の情報サイト健美家も、不動産投資家向けにアンケートを行なっています。アンケート結果は以下の通りです。

※引用:不動産投資と収益物件の情報サイト健美家 第13回不動産投資に関する意識調査
https://www.kenbiya.com/info/user_anquite_result202004.html

こちらは2020年4月〜5月に実施されたアンケート調査の結果です。自己資金なしで融資を受けられた人は約30%となっています。また、物件価格の1割〜2割の自己資金を求められた人が約56%を占めている状況です。

各金融機関の不動産投資向け融資の姿勢や融資の実態などを鑑みると、2020年現在は、自己資金なしで不動産投資をできる人は限られているといえるでしょう。

金融機関の姿勢が厳しい中でどうすれば融資を受けられる?

金融機関の融資に対する姿勢は年々厳しくなっている状況ですが、こうした中でもどうすれば融資を受けられるのか、有効な対策について解説します。

融資を引き出せる人の特徴

金融機関の融資に対する姿勢は厳しくなる一方で、融資実行されている人もいることは事実です。では、どのような人ならば融資を引き出せるのでしょうか。金融機関が融資の審査で確認しているのは、主に以下のポイントです。

  • 勤務先や勤続年数
  • 契約者の収入
  • 購入対象物件の収益性

勤務先や勤続年数

大企業に長年勤めている人は金融機関から見て好印象を持たれます。また、公務員や士業と呼ばれる仕事に就いている人も同様です。

金融機関は、不動産投資ローンの返済原資として物件の収益を重視します。しかし、万が一収入が上がらなかった場合は、契約者が給与収入などから返済しなくてはいけません。このため、契約者の勤務先や勤続年数を審査します。

契約者の収入

融資審査にあたっては、契約者の収入も重要なポイントです。なお、勘違いされやすいポイントでもあるのですが、審査では収入の高さよりも安定性のほうが重視されます。

このため、例えば昨年よりも大きく収入が上がったからといって、必ずしも好条件で融資を受けられるわけではありません。確実に融資を受けるためには、「安定した高い収入」が必要になります。

なお、収入がいくらあれば融資を受けられるのか、疑問に思う人もいるかもしれません。各金融機関で申込条件とされている年収について、以下の表を参考にしてみてください。

金融機関 申込条件の前年度年収
オリックス銀行 500万円
SMBC信託銀行 700万円

※各金融機関のwebサイトを参照して独自に作成(2020年10月時点調べ)
 

申込条件の収入は金融機関によって幅がありますが、地方銀行や信用金庫は収入が低くても申込条件に合致します。ただし、収入が低い場合は融資金利が高くなりやすいので、物件収支のバランスを忘れずに確認することが重要です。

融資を引き出すために有効な対策

融資の審査では勤続年数や安定した収入額などがポイントとなりますが、どちらも簡単に改善できるものではありません。しかし、物件選びや審査書類で金融機関にアピールすることはできます。

収益性が高い物件に投資する

不動産投資に融資を利用すると、返済の原資として1番優先されるのは物件運用の収益です。このため、収益性が高い(=利回りが高い)物件に投資する場合は融資を引き出しやすくなります。

審査にあたっては、不動産業者が作成した収支シミュレーションが参考とされるケースも多いです。しかし、金融機関は厳しめの条件でも収益が出る物件かどうかを判定します。このため、審査通過の確率を上げるためには、投資家側でもシミュレーションを検証しておくことが重要です。

なお、収益性が高い物件を選ぶにあたって重要となるポイントは、物件の立地です。スーパーやオフィス街などへのアクセスが良く、駅から近い場所に立地する物件は収益性が上がりやすくなります。

審査書類でアピールする

物件の収益性は融資審査でポイントになる部分です。例えば、収支シミュレーションに少し工夫を加えると、金融機関の印象を上げられます。

工夫を加えるポイントは、想定収支に具体性を持たせることです。賃料や物件価格の周辺相場に関する資料を作成して添付する・管理経費について実際の運用例を示すなどのことが考えられます。

しっかり調査して物件を選んでいるという印象を金融機関に与えられれば、審査通過の可能性が高まるでしょう。

融資を引き出しやすい金融機関はどこ?

金融機関の融資態度が厳しくなる中で、どういった金融機関であれば融資を引き出しやすいのか、金融機関の特徴について解説します。

都市銀行(メガバンク)

みずほ銀行・三菱UFJ銀行・三井住友銀行などの都市銀行は、審査通過できれば低金利で融資を受けられるものの、審査基準がかなり厳しいです。都市銀行の融資を利用するためには、長期間大企業に勤めている上に金融資産を複数保有しているなどの条件を満たす必要があります。

地方銀行

地方銀行は都市銀行と比較すると審査基準が緩いところも多いです。しかし、申込者の収入が低いなどの場合は金利が上がりやすく、一概に条件がいいとは言い切れません。また、申込者の住所や投資先の物件が営業エリアに立地していないと、申し込みできないこともあります。

信用金庫および信用組合

信用金庫や信用組合は融資を利用している不動産投資家が多いです。営業方針として利益の追求よりも地域の振興に重きが置かれているため、よほど条件の悪い物件でない限り、物件のほうが原因で審査落ちすることは少ないでしょう。ただし、営業エリアが狭いため、利用できる機会が限られる点には注意を要します。

ノンバンク系の金融機関

ノンバンクとは、預金口座を開設せずに融資だけを行なっている金融機関のことです。他の金融機関と比較して、融資の審査基準が緩い点でメリットがあるものの金利は高くなります。

また、2件目以降の物件を買い進める際に、ノンバンクから融資を受けていることが審査に悪影響を及ぼすこともあるので、利用に当たっては注意が必要です。

不動産業者と提携している金融機関

新築の投資用物件を販売している不動産業者の中には、金融機関と提携してローンを利用できるところもあります。提携ローンは比較的審査が通りやすいです。

しかし、弊社が運営する不動産投資かけこみ寺には、融資を利用して新築分譲物件に投資した結果失敗してしまったという相談が多く寄せられています。新築分譲物件に投資する場合は、周辺相場や収益性などの検証を綿密に行うことが重要です。

まとめ

各種統計に基づいて検証すると、金融機関の不動産投資に対する融資の姿勢は年々厳しくなっています。融資の審査を通過できたとしても、自己資金を求められることも多いです。

審査の際には、勤続年数や安定収入の額などを見られており、これらのポイントをすぐに改善するのは難しいでしょう。しかし、良質な物件を選び、資料などで金融機関にアピールすれば審査通過の確率は上がります。

なお、融資申込みする金融機関としては信用金庫などがおすすめです。信用金庫などは、実際に融資利用している不動産投資家も多い上に、審査基準が比較的緩いところもたくさんあります。


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