マンション投資基礎知識

不動産投資ローンと住宅ローンはどちらを優先する?違いも解説

ローンを利用して不動産投資をしたいと思うけれど、不動産投資ローンと住宅ローンとはなぜ別々に扱われているのか、ローン審査で見られるポイントに違いはあるのかなど、疑問に思う人もいるのではないでしょうか。

不動産投資ローンと住宅ローンとでは、お金を借り入れる目的が異なるため、金融機関から見ると、貸し倒れのリスクも異なります。また、貸し倒れリスクの違いから、貸付条件や審査項目に違いがあることも重要なポイントです。

不動産投資ローンと住宅ローンの違いに加え、どちらを優先するかという疑問についても解説します。

不動産投資ローンと住宅ローンとの違い

同じ住宅を購入するためのローンのように見えて、不動産投資ローンと住宅ローンとには複数の違いがあります。

借入資金の使途

不動産投資ローンと住宅ローンとの最大の違いは借入資金の使い道です。不動産投資ローンは、賃貸運用をするための不動産を購入する目的で使います。収益目的の不動産を購入するのが主目的であり、事業性を持っているのが大きな特徴です。

その一方で、住宅ローンは契約者が自ら住む家を買うために利用します。不動産投資ローンと違って事業性は持っていません。同じ家を買うためのローンであっても、収益目的か居住目的かという点で、不動産投資ローンと住宅ローンとには大きな違いがあります。

審査のポイント

借入資金の使途が違うため、不動産投資ローンと住宅ローンとでは、審査で金融機関が重視するポイントも異なります。

国土交通省が実施した「令和元年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」によると、金融機関が住宅ローンの審査で重視しているのは以下のポイントです。

  • ローン完済時の年齢
  • 契約者の健康状態
  • 購入する住宅の担保価値
  • 借入時の年齢
  • 契約者の年収
  • 勤続年数

※参照:令和元年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書
https://www.mlit.go.jp/report/press/house01_hh_000098.html

年齢や健康状態などが挙がっていることから、住宅ローンの場合は「契約者が働き続けられるか」という点が重要視されていることがわかります。

住宅ローンの場合は、契約者の給与収入が主な返済原資です。金融機関から見ると、契約者はどれだけ安定した給与収入を得られるかがリスク判断のポイントになります。購入する住宅に関しては、国交省のアンケート結果でも、担保評価以外のポイントが挙がっていません。

その一方で、不動産投資ローンでは、購入する物件に関する事項も審査のポイントとなります。例えば、担保評価以外の審査項目は以下のものです。

  • 想定利回り
  • 想定家賃の妥当性
  • 想定される空室率
  • 物件の築年数

不動産投資は収益目的の事業とみなされるため、契約者の状況に加えて事業がうまくいきそうかというポイントも審査でチェックされます。なお、想定される空室率については、金融機関ごとに考え方が異なる点に要注意です。

想定空室率については、比較的緩やかに考える金融機関もあれば、厳しめに見ているところもあります。

不動産投資ローンの審査で事業性をチェックされるのは、家賃収入がローン返済の原資となるためです。金融機関から見ると、投資がうまくいかずに家賃収入が減ったり無くなったりした場合は、貸し倒れのリスクが上がります。

融資限度額と貸出金利

不動産投資ローンと住宅ローンとの資金使途の違いは、融資限度額にも影響しています。不動産投資ローンの融資限度額は、契約者の年収比で10倍などが限度です。その一方で、住宅ローンの融資限度額は契約者の年収比で5倍など、不動産投資ローンよりも低く設定されています。

不動産投資ローンの方は、投資がうまくいけば契約者の収入が増えます。しかし、給与収入は年数が経っても増えるとは限らないため、住宅ローンの場合は契約者の年収増加を加味しません。

なお、貸出金利については住宅ローンの方が低くなります。投資の収益よりも給与収入の方が、安定性が高いと考えられるためです。金融機関から見ると、住宅ローンの方が貸し倒れリスクは低いため、リスクヘッジの必要性が低いと言えます。

また、住宅の購入は衣食住に関わることなので、住宅購入の促進に寄与する金融機関としての姿勢も、住宅ローンが低金利な要因です。

不動産投資ローンと住宅ローンはどちらを先にするべきか?

不動産投資を検討する人の中には、不動産投資ローンを利用したら住宅ローンを利用できなくなるのではないかと不安に思う人もいるかもしれません。不動産投資ローンと住宅ローンはどちらを優先すべきか解説します。

投資規模を拡大するならば住宅ローンは後でも問題ない

不動産投資ローンと住宅ローンともに、審査では「返済負担率」というポイントもチェックされています。返済負担率とは、毎月の返済額が収入に対して占めている比率のことです。なお、返済負担率の限度は30%前後です。

ちなみに、すでにご紹介した国土交通省のアンケートでは、審査における返済負担率の重要度は中程度とされています。

返済負担率は返済額が収入に対して占める比率なので、収入が上がれば返済負担率は下がります。投資規模を拡大して収入を底上げできれば、すでに不動産投資ローンを利用していても住宅ローンの利用は可能です。

しかしながら、例えば区分マンション投資では、短期間で収入を大幅に増やすのは難しい点に注意を要します。区分マンションとアパートとの比較では、アパートの方が短期間で収入を増やしやすいものです。マイホームの購入も視野に入れるのであれば、先を見越した投資の計画が必要になります。

借入合計額が住宅ローンの限度額に収まれば問題ない

将来的なマイホームの購入も予定しているのであれば、あらかじめ不動産投資ローンの利用額が住宅ローンの限度額を圧迫しないように調整するのも1つの方法です。ただし、住宅ローンの融資限度額を考慮すると、不動産投資ローンの利用額が大幅に制限されます。投資用物件を購入するためには、必要な自己資金が多くなる点に要注意です。

不動産投資ローンの不正利用は避けるべき

一時期、住宅ローンのフラット35を利用した不正融資問題がメディアをにぎわせました。すでに解説した通り、住宅ローンは不動産投資ローンよりも金利が低くなります。また、フラット35は返済期間を長期に設定できるので、返済負担率も上がりにくいものです。

収益を上げやすくするために、不動産投資にフラット35を利用する投資家がいたことが問題となりました。

しかし、フラット35は居住目的の住宅を購入するためのローンであり、収益目的での利用は不正利用とみなされます。不正利用が発覚すると、発覚時点での一括返済を求められるため要注意です。

不動産業者の中には、住宅ローンの利用を推奨する業者もいるかもしれません。しかし、ローンの一括返済を求められると、投資の計画が大幅に崩れるリスクもはらむため、ローンの不正利用は避けるほうが無難です。

まとめ

借入資金の使い道が異なるため、不動産投資ローンと住宅ローンとには、審査項目や金利など複数の違いがあります。

不動産投資ローンと住宅ローンとの優先度については、不動産投資で十分な収益を得られるのであれば、不動産投資ローンを優先しても問題ありません。あるいは、あらかじめ借入限度額を見越して利用額を調節できるのであれば、同時に借り入れることも可能です。

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監修者プロフィール

  • 人物

    小川 進一

  • 氏名

    小川 進一

  • 保有資格

    • ・(公認)不動産コンサルティングマスター

    • ・相続対策専門士

    • ・不動産エバリュエーション専門士

    • ・宅地建物取引士

    • ・賃貸不動産経営管理士

    • ・定期借地借家プランナー

  • プロフィール

    不動産一筋35年!成約件数述べ5,000件以上。
    自身も都内に複数所有している実践大家。

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