本に学ぶマンション投資

税制と収益不動産をフル活用した資産形成

税制と収益不動産をフル活用した資産形成

穴澤 勇人 (著)

2021年10月5日発行

数年前からサラリーマンの間で不動産投資がブームとなり、多くのサラリーマン投資家が生まれました。しかし、不動産投資ブームの背景には銀行の積極的な融資があり、スルガショック以降銀行の融資引締めが厳しくなった現在では、一般のサラリーマンが不動産投資を続けるのは難しくなっています。

それでは、2022年現在、不動産投資で資産を築くのは不可能かというと、そういうわけではありません。今後不動産投資を始めるまたは続けるうえで重要なポイントは、手持ちの現金を増やすことです。この記事では、不動産投資の入口において現金を増やすための方法について解説します。

不動産投資の初心者が知るべきポイント

これから不動産投資を始める人は、物件を購入する順序や今後想定されるリスクなどについてあらかじめ認識しておくことが重要です。また、投資規模拡大を念頭に入れると現金を増やすことが必要になります。ありがちな不動産投資の失敗や現金を増やすための方法などについて解説します。

これまでの不動産投資にありがちな落とし穴

サラリーマンの人などが不動産投資の入口として選びやすいのは、ワンルームなどの区分マンションです。区分ワンルームを販売する不動産業者は、よく「年金代わり」「資産形成」などの宣伝文句で物件を販売しています。

しかし、実際に区分ワンルームを購入したものの、物件単体で収支が回らなかったり手取り金額が少なかったりで悩む人が少なくありません。例を出すと、毎月3,000円の手残りを得るために2,000万円のローンを組んでしまう人もいます。また、黒字であるならまだしも、ローン返済を経ると毎月手出しがあるというケースも多いものです。

ワンルームマンションは、単身者のサラリーマンを主な入居者ターゲットとする収益不動産ですが、今後賃料が下落していく可能性をはらんでいます。独身者の所得格差が広がり始めており、多くの独身者は住居にお金をかけられなくなっていくためです。

最速で投資規模を拡大できるのは中古1棟アパート

区分ワンルームマンションのリスクについて解説しましたが、実際のところ区分ワンルームマンションで成功している投資家もいます。しかし、区分ワンルームマンションを購入して良いのは「既に資産形成が終わっている高所得者」です。

手持ちの現金がまだ少ない投資初心者には、割高な都心の新築ワンルームマンションよりも、耐用年数が超過した木造または軽量鉄骨のアパートがおすすめです。

耐用年数とは国税庁が定めた法定耐用年数のことで、例えば木造アパートであれば築22年が法定耐用年数と定められています。耐用年数を超過した中古アパートのメリットは、大きく分けて以下の3点です。

  • 減価償却の仕組みを利用すれば節税につなげられる
  • すでに家賃が下落しきっているので、家賃の値崩れリスクがない
  • 他の投資商品よりも高利回り

詳細はこの後に解説しますが、中古アパートに投資する最大のメリットは「節税しながら現金を増やせる」という点です。新築の投資用マンションでも「節税できる」と宣伝しているものは少なくありません。

しかし、新築マンションの節税額は非常に少額であり、購入後2年が経過するとほとんど節税できなくなってしまいます。その点、耐用年数超過の木造アパートは節税額が大きい上に、購入後4年間に渡って大きな節税が可能です。

節税によって還付される現金を貯めながら、サラリーマンの給与収入も少しずつ貯金していけば、自己資金を増やすことで投資規模を拡大していけます。

ネットに載っている物件でも勝ち目はある

不動産投資に関連する本の中には「ネットに広告掲載されている物件に良いものはない」と書かれているものが少なくありません。ここでいう「ネット」とは楽待や健美家などのウェブサイトを指します。本当に良い物件の情報は不動産業者が懇意にしている大口の投資家へ流してしまうため、表に出てくる物件に良いものはないというのが主な根拠です。

また、立地や表面利回りなどにこだわりがあるため、不動産投資を思い立っても一向に物件を購入しない人もいます。

しかし、極端に短い返済期間や高金利など、よほど不利な条件のローンを利用しなければ不動産投資で大きな損をすることはありません。2022年時点の市況と税制であれば、ネットで見つかる物件にも勝機はあります。

不動産投資で現金を最大化するために

不動産投資によって節税しながら現金を増やしていくためには、既に解説した通り節税の仕組みを理解して最大限活用することが重要です。節税の肝となる減価償却について解説します。

減価償却の仕組みを理解する

不動産投資で手元の現金を増やすためには、減価償却の仕組みを活用することが不可欠です。経年劣化によって目減りする資産の価値を、税金計算上の支出として取り扱う仕組みを減価償却と言います。

目減りした資産価値のことを「減価償却費」と呼び、これは実際にお金を払っていなくても確定申告で支払済みの経費として計上可能です。実際の支出を伴わない支出というと、違法なものではないかと思う人もいるかもしれません。しかし、減価償却の仕組みは税法に定められた合法的なものです。

また、不動産投資の収支は、確定申告でサラリーマンなどの給与所得と合算できます。不動産投資の収支と給与所得とを合算することを、損益通算と言います。減価償却費の計上によって不動産所得を赤字計上し、損益通算によって本業で支払った所得税を節税できるのが、不動産投資によって節税する仕組みのポイントです。

新築アパートと中古アパートの比較

不動産投資による減価償却は、物件価格のうち建物部分についてのみ減価償却費を計上できます。減価償却費は建物価格を減価償却期間で割り戻して計算します。

〇減価償却期間の計算方法
法定耐用年数 - 築年数 × 0.8 = 減価償却期間(小数点以下切り捨て)

法定耐用年数は建物の構造ごとに決まっており、木造の住居は戸建とアパートに関わらず22年です。法定耐用年数については国税庁のホームページで確認できます。以下リンク先の表で左上にある<建物>の欄を見ると、構造ごとに「店舗用・住宅用のもの」として法定耐用年数が記載されています。

※参照:国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf

減価償却期間の計算式に当てはめると、築22年を過ぎた木造アパートの減価償却期間は4年となります。このため、物件購入価格と建物と土地とに案分し、建物部分について4で割り戻せば単年の減価償却費を計算可能です。

例えば土地と建物合わせて3,000万円、建物価格が1,600万円で築年数が22年を超えた木造アパートを購入したと仮定します。この場合は400万円の減価償却費を4年間に渡って計上可能です。

一方、同じ条件で新築のアパートを購入した場合は、1,600万円を22年間に渡って償却し続けるため、単年の減価償却費は約72万円です。減価償却費が328万円違うため、築古アパートの方が効果は大きくなります。

物件を買い続けるための方法

毎月数万円の小遣いが欲しいというならまだしも、不動産投資で「資産形成」と言えるほどに収入を増やしたいのであれば、投資規模の拡大は避けて通れません。しかし、ある時点で銀行から融資を受けられなくなって拡大に行き詰まる投資家は多いものです。投資規模の拡大を念頭に置いた融資対策について解説します。

融資の限界突破には共同担保の提供が重要

サラリーマン投資家が新築マンションなどを買い進めた結果、融資枠を目いっぱいまで使い切ってしまい、投資規模の拡大に行き詰まるのはよくあるパターンです。3~4件目を購入し終わったあたりで銀行から「最近融資したばかりなので、次は3年後くらいにご相談ください。」と断り文句を連発されるようになります。

収益の拡大を続けるためには物件数を増やすのが不可欠であり、銀行からの融資を引き出し続けることが必要です。

銀行から融資を引き出し続けるためには、共同担保の提供が有効になります。しばらく保有し続ける予定の物件であれば、共同担保として提供することで抵当権を一括設定しても問題ありません。

共同担保に入れることを念頭に置くと、建物よりも土地の方が高い物件を購入するのが有効と言えます。築古物件は特に、銀行の審査で建物の価値が認められないことも多いため、物件の購入前にあらかじめ地価の周辺相場を調べておくことも重要です。

まとめ

「資産形成」と言えるほどに不動産投資の規模を拡大するためには、すぐに動かせる現金を増やす必要があります。現金を最大化するためには、減価償却の仕組みを活用した節税がおすすめです。

節税を念頭に入れると、購入する物件は新築マンションよりも築古の木造アパートがおすすめと言えます。なお、銀行からの融資を受け続けるためには共同担保の提供が有効です。


【関連リンク】その他の本はこちらからご確認ください。



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監修者プロフィール

  • 人物

    小川 進一

  • 氏名

    小川 進一

  • 保有資格

    • ・(公認)不動産コンサルティングマスター

    • ・相続対策専門士

    • ・不動産エバリュエーション専門士

    • ・宅地建物取引士

    • ・賃貸不動産経営管理士

    • ・定期借地借家プランナー

  • プロフィール

    不動産一筋35年!成約件数述べ5,000件以上。
    自身も都内に複数所有している実践大家。

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