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不動産投資のお金の残し方 裏教科書

不動産投資のお金の残し方 裏教科書

石井 彰男 (著)

2018年7月28日発行

不動産投資と税金は切っても切れない関係にあり、不動産投資で財を成すためには税金に関する知識が非常に重要です。一方で、節税対策だけ勉強すればお金が増えるのかというとそういうわけではなく、「儲からない物件」を避ける必要があります。

この記事では、不動産投資によってお金を増やすために抑えるべき指標や、避けるべき物件の特徴に加え、最も有効な節税の方法について解説します。

手残り大幅アップにつながる不動産投資の秘訣

不動産投資の手残りを上げるためには、把握するべき指標と避けるべき物件があります。具体的な指標と避けるべき物件の種類について解説します。

キャッシュフローと返済比率

不動産投資家が継続的に物件を買い増して経済的な自由を手に入れるためには、キャッシュフローが出る物件を買い集め続けることが必要です。なお、キャッシュフローの多寡はローン審査にも影響を及ぼします。

キャッシュフローは不動産投資における収入そのものなので、表面利回りが高くてもキャッシュフローが出ない物件は買う意味がないと考えて問題ないでしょう。

毎月のキャッシュフローをプラスにするためには、著者の考えでは新築物件で表面利回りが10%、中古物件で15%は必要です。投資用物件の広告には表面利回りが掲出されているため、1つの目安にすると良いでしょう。

なお、ローンを利用して投資用物件を買い増していく前提に立つと、ローン返済は少なければ少ないほど有利です。ローン返済とキャッシュフローのバランスを見る上では、返済比率という指標を把握する必要があります。

返済比率とは、ローン返済額が毎月の収入に対して占める割合のことです。キャッシュフローを上げるためには、返済比率は高くても50%未満にすることが必要と言えます。あるいは、可能であれば30%以下に抑制するのが理想的です。なお、返済比率が60%を超える場合は、表面利回りが高くてもキャッシュフローがなかなか貯まりません。

常時満室経営はハードルが高いものの、キャッシュフローを出せれば長期間に渡る場合でも賃貸経営を安定させられます。

例外なしに買ってはいけない物件

サラリーマン投資家が増えるなど、不動産投資が流行し始めてからすでに数年以上経過していますが、儲かる物件・損する物件というのは今も昔も変わりありません。損をしやすく避けるべき物件の代表格は、新築ワンルームマンションです。

不動産投資の初心者には「不動産投資をしてみたいけど、いきなり一棟もの物件を買うのは気が引けるし、ハイリスクに感じる」人が多いのではないでしょうか。このため、新築ワンルームマンションは不動産投資の初心者をターゲットとして販売されていることが大半です。

しかし、新築ワンルームマンションは、その大半において購入当初からキャッシュフローがマイナスになっており、ほとんど利益を残せません。

キャッシュフローがマイナスになる理由は、新築ワンルームマンションの価格にあります。高価格の新築物件を借りるためには多額のローンが必要です。借入額がかさむと返済比率が上がるため、キャッシュフローが出づらい仕組みになっています。

なお、新築ワンルームマンションの価格が高い理由は、不動産業者の利益が価格に転嫁されていることです。場合によっては、物件購入後1年足らずで価格が20%以上下がることもあるので、新築ワンルームマンションには要注意です。

法人化が節税のカギ

不動産投資のキャッシュフローを上げるためには、返済比率の抑制と節税対策が有効です。ここからは、税理士資格を持つ著者が推奨する不動産投資の節税対策について解説します。

法人の有無でキャッシュフローは大きく異なる

不動産投資の節税対策には様々な方法がありますが、最も有効な節税対策は法人化です。まず、法人税と個人の所得税とでは最高税率が異なっています。そして、所得税は増税・法人税は減税される傾向が強いものです。

なお、個人の場合は不動産投資の収入に対して所得税と法人税が課税されますが、両者を合わせた最高税率は55%です。一方で、法人税は1984年の基本税率43.3%(所得800万円以下の中小法人は31%)をピークとして、それ以降減税され続けています。

また、2022年6月現在では租税特別措置が適用されるため、資本金1億円以下の法人は、年800万円以下の所得金額について法人税の本則税率が15%(本来の税率は19%)となっています。特別措置の適用期限は令和4年度末(2022年度末)までです。

個人で不動産投資の規模を拡大すると、所得税率が上がるためにキャッシュフローは減っていきます。もしアーリーリタイアなどの長期的な目標があるのなら、最初から法人で不動産投資を始めるのがおすすめです。

なお、既に不動産投資を始めているけれど、いつ法人化したら良いのかという疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。税理士資格を持つ著者が考える法人化のラインは年収400万円以上です。

最も有利な法人設立の方法

不動産投資の法人化というと株式会社を連想する人も多いのではないでしょうか。しかし、不動産投資において設立できる法人には株式会社と合同会社があります。株式会社と違って、合同会社は出資と経営が分離していないため、出資者が会社の経営も行うことになります。

不動産の賃貸経営においては出資者と経営者が同じであることが大半なので、合同会社であっても意思決定などの差支えはありません。合同会社が株式会社よりも優れていると言えるメリットは複数あります。

代表的なメリットの1点目は、設立費用が安いことです。株式会社の場合は定款の認証と登録免許税で20万円前後の費用がかかりますが、合同会社は定款の認証が不要なので、設立費用は登録免許税の6万円と司法書士の手数料のみとなります。

代表的なメリットの2点目は、利益分配の比率を自由に決められることです。株式会社の場合は持ち株比率に応じた利益分配が基本となるため、利益分配の比率を変えるためには株式の売買が必要です。しかし、合同会社の場合は株式の売買などをしなくても、社員間の話し合いによって比率を決められます。

法人化のデメリット

個人よりも低い税率や計上できる経費の多さが法人化の代表的なメリットですが、一方で把握するべきデメリットもあります。法人化の主なデメリットは以下の通りです。

  • 収支が赤字で必ず法人住民税均等割分(最低7万円)を支払わなくてはならない
  • 社員が社長のみでも社会保険に加入しなければならない
  • 2年連続で期限後申告などの違反をすると、青色申告を取り消される可能性がある

3点目については、個人事業主と比較した場合のデメリットです。個人事業主の場合でも、税務調査の際に帳簿を提示しない・税務署長の指示に従わないなどの場合には青色申告を取り消されます。

しかし、個人の場合、2年連続の期限後申告・無申告は青色申告の取り消し対象となっていません。個人は法人よりも税金に関する知識が少ないという前提のもと、このような規定になっています。

まとめ

不動産投資の物件選びにおいては、表面利回りを見て判断する人も多いものです。しかし、不動産投資で損をしないためには、キャッシュフローと返済比率に着目して物件選びと資金計画を進める必要があります。なお、新築ワンルームマンションは返済比率が上がりがちでキャッシュフローが少ない傾向にあるため、避けるのが得策です。

また、節税対策によって不動産投資のキャッシュフローを増やすためには、税率が低く初期費用も少ない合同会社の設立がおすすめです。


【関連リンク】その他の本はこちらからご確認ください。



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石井 彰男 (著)

2018年7月28日発行

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監修者プロフィール

  • 人物

    小川 進一

  • 氏名

    小川 進一

  • 保有資格

    • ・(公認)不動産コンサルティングマスター

    • ・相続対策専門士

    • ・不動産エバリュエーション専門士

    • ・宅地建物取引士

    • ・賃貸不動産経営管理士

    • ・定期借地借家プランナー

  • プロフィール

    不動産一筋35年!成約件数述べ5,000件以上。
    自身も都内に複数所有している実践大家。

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