東京23区の新築マンションで利回り8%を超える! 『最強物件企画』の進め方
塩田 寿弘 (著)
2020年3月13日公開
投資用不動産の販売・管理・運営までをトータルで支援する、株式会社日本財託社長・重吉 勉氏の2冊目の著作です。老後の年金不足を解消する手段として投資用不動産の購入を検討している読者に、安全かつ効率的に物件を増やす手法として「東京の中古ワンルームを3戸持ちなさい」と提唱しています。無理にローンを組むことなく長期的に不動産を持ち続けることを前提としたもので、不動産投資を推奨する企業としては一般的な内容といえるものです。
ゆとりある老後の生活には、毎月38万円が必要と言われています((財)生命保険文化センター調べ)。例えばサラリーマン夫婦の場合、定年後に支給される公的年金は月額23万円(平成21年度水準、妻が専業主婦の場合)で、ゆとりある生活を送るには月額約15万足りません。本書が目的としているのは、最低5万円の家賃収入が得られるワンルームマンションを最低3戸保有することで、不足分15万円を補うというものです。
本書は東京の中古ワンルームマンションを推奨しています。
理由はいくつかあります。中古ワンルームマンションは融資がつきやすく、少ない自己資金で始めやすいこと。地方に比べて東京は空室リスクが低いこと。都内にエリアが違う物件を数点保有していれば、1戸が空室になったとしても別の物件でカバーできること。売却がしやすいことなどです。また中古物件は新築に比べて価格が手頃なことも挙げられます。
不動産投資にまつわるリスクは数多ありますが、本書で最も怖いとしているのは「債務リスク」です。借入期間中、金利が変わらないのであればフルローンでマンションを購入しても問題ありませんが、そんな保証はありません。もし購入後すぐ金利が上がったら、家賃収入をローン返済額が上回り、ローン破綻の恐れすらあります。そうならないように借入は適正に行って、最終的には「債務ゼロ」の状態を目指すべきとしています。
そこで本書では、誰でも安全に資産を増やせるよう「借入の無い2戸の中古ワンルームマンションを手に入れて、それを元手にマンションを増やす」手法を推奨しています。
例えば、ローンを払い終わった1,000万の中古ワンルームマンション2戸を持っている前提で、フルローン(金利3.5%)で1戸を購入するとします。毎月の家賃収入は各マンション5万円、3戸合計15万円。この15万円を3戸目のローン返済に充てることができれば、6年2か月で完済できます。この状態で金利が3.5%から6%に上がったとしても、返済期間は7か月遅れるだけです。3戸物件があるうちローンのある物件は1戸だけなら、資産全体の借入割合は33%。これなら金利が急激に上昇しても怖くありません。
では、最初のワンルームマンション2戸をどうやって手に入れるのでしょうか。
最低3戸のマンションを持つことを考えると、早めに2戸のローンを完済する必要があります。本書は1戸目のローン返済目標を10年、2戸目を5年、合わせて15年を目標に置いています。まず1戸目は、頭金100万円を入れて1,000万円のマンションを購入します。金利3.5%、借入期間20年で計算すると、10年後には元本の4割、370万円を家賃収入で返済できます。残りの530万円(年間53万円)は、日々の節約、ボーナス、解約した保険金(※投資物件購入時に加入した団体信用保険を生命保険の代わりにする)等を充てることで自力返済します。1戸分のローンが完済できたら、その家賃を次のマンションの返済に充てることで、繰り上げ返済をしながら5年を目処に返済を完了します。ここからは全家賃収入を3戸目以降のローン返済に充てられるので、加速度を付けて資産を増やすことが可能になります。
投資物件を手に入れた後、マンション売却は検討すべきでしょうか。
売却は考えず、マンションは朽ちるまで持つべきというのが本書の主張です。マンション寿命は一般的に60年と言われますが、寿命を迎える遙か前にローンを完済できるため、最後の最後まで家賃収入を得た方が利益も増えるということです。もちろん、管理状態が良い物件に限ります。
物件は最後まで持ち続ける前提のため、長期的に収益を得られる物件を選ばなくてはいけません。
中古ワンルームは、80年代後半から90年代初頭のバブル期に分譲されたバブル期物件と、1998年以降に分譲された築浅物件に分かれます。設備のグレードが高くて総家賃収入が高く、建物の残存年数が長い築浅物件の方が、この投資に適していると言えます。
また、築後20年経過しているのに大規模修繕が行われていなかったり、管理組合が機能していなかったり、修繕積立金がほとんどない問題物件では長期的に収益が上げられません。建物の管理会社や仲介会社に依頼して、重要事項調査報告書を取り寄せ、過去の修繕実績や大規模修繕計画、修繕積立金の積み立て状況、積立金の滞納について確認しましょう。
不動産投資で長期的に利益を上げるなら、マンションの賃貸管理と、建物管理が重要です。
賃貸管理は入居者募集やクレーム対応などを指しますが、特に空室リスクを抑えたいなら営業力のある会社に頼むべきです。家賃をオーナーに渡すのが賃貸管理会社の仕事なので、これが滞るようであれば業者変更を検討しましょう。
また建物管理が杜撰だと、大規模修繕など適切になされずマンション寿命に大きくかかわります。総会に出席し、建物管理会社に不明点を聞くなどして、積極的に関わっていきましょう。
まとめ
本書にある不動産投資の手法は、「不動産の価値が無くなって、朽ちるまで保有する」を前提としており、売却までのシミュレーションはありません。しかし不動産投資は、購入~管理~運用、修繕を経て、売却する時に初めて収支決算ができ、成功か失敗かがわかります。書籍には記載がなくとも、読者は必ず「いつ売れば、いくらで買い取ってもらえるか」「そのとき元が取れるのか」は明確にしておくことが重要です。
株式会社日本財託 重吉勉 (著)
2009年10月20日発行
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そのマンションの“市場価値”
過去の賃料や売買価格の推移はもちろん、近隣のマンションの相場や市場に影響を与えるような近隣のマンション建造計画などもチェックしてマンション価格を相対的に評価します。
そのマンションの“売却理由”
よほどに事情がない限り、高利回りで運用できている物件を手放そうと思う人はいません。高い利回りが売り文句になっている物件はなぜオーナーがそのような有料物件を手放そうとしているのかを調査します。
そのマンションの“維持管理”
マンションを長期的に維持する上で大切なのは、定期的な修繕です。建物の共用部を目視確認するためのチェックリストをお知らせします。また詳細の調査をご希望であれば、過去の修繕積立金の使用用途や現在の積立額、長期修繕計画資料を調査します。
※管理組合から調査報告書を取り寄せるには¥5,400かかります。
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