本に学ぶマンション投資

一級建築士が教える 買ってはいけない収益物件の見分け方

一級建築士が教える 買ってはいけない収益物件の見分け方

大谷 義武 (著)

2019年3月4日発行

「不動産投資の失敗」というと、非常に割高な物件を購入してしまった・入居者が全然入らないなどの失敗例が多く挙げられるものです。しかし、金銭面・ソフト面での失敗だけではなく、物件の不具合が購入後に見つかったというハード面での失敗例もあります。

契約不適合責任の定めにより、隠れた瑕疵については売主の責任を追及可能です。しかし、賃貸できない期間が発生するリスクなどを考慮すると、瑕疵のない物件を選んでトラブルなく賃貸できればそれに越したことはありません。

この記事では、収益物件の建物部分にフォーカスして物件の選び方について解説します。

買ってはいけない物件の代表例

買ってはいけない物件の例は複数ありますが、最も注意すべきなのは法律に準拠していない物件です。代表例と確認の仕方について解説します。

違法建築物

買ってはいけない物件の代表例として最初に挙げられるのは、建築基準法に定められた条件を満たしていない違法建築物に該当する物件です。違法建築物は極端に安価で活かし方が見えているのであれば有効ですが、どちらの条件も満たしていない場合は主に2つのリスクを背負うことになります。

1つ目のリスクは建物の安全性や防災性が担保されていないため、事故や災害が起きたときに建物の所有者責任を問われる可能性があることです。2つ目のリスクは、金融機関からの融資を受けられないことです。

近年建築された物件の大半は、行政から建築確認済証(旧建築確認通知書)と検査済証という書類が発行されています。

建築確認済証とは、建築する建物が設計の段階で建築基準法に定められた条件に合致していることを示す書類です。また、検査済証とは、設計書に基づいて建築された建物が、実際に建築基準法で定められた条件に合致していることを証明する書類となります。建築確認済証と検査済証があれば、建築基準法に違反している建物ではないと確認可能です。

一方で、これらの書類がない築古物件は市場に多く流通しています。その理由は、国や自治体が違反建築物の取り締まりを強化し始めたのが平成14年以降であることです。また、平成15年以降、国は各金融機関に対して検査済証が発行されていない物件への融資を控えるように要請しました。

このため、平成14年よりも前に建築された物件では特に、違法建築物であるリスクや融資を受けられないリスクなどがあることに要注意です。

違法建築物の代表例

基本的に一棟もの物件などが対象になりますが、ここからは違法建築物として多い例を挙げていきます。なお、違法建築物の多くは、その事実が発覚した後で是正できないものが大半なので、必ず物件を購入する前に確認することが重要です。

建蔽率(けんぺいりつ)がオーバーしている物件

建蔽率という言葉は収益物件のみならず、居住目的の不動産を選ぶ時にもよく聞かれる項目です。具体的には敷地面積に対して建築面積が占めている割合のことを指しています。かみ砕いて説明すると、土地の広さに対して建物の広さが占めている割合のことです。

築古収益物件の中で、最も多い違法建築物は建蔽率がオーバーしている物件です。建蔽率の上限はエリアごとに30%~80%の間で決められています。建蔽率がオーバーする要因として代表的なのは、本来建築面積に含めるべき共用廊下やベランダを含めずに設計していることです。

なお、建蔽率の超過は建物の設計や構造に関わる問題につながるため、後から是正できません。建蔽率に関する遵法性を正確に確認するためには、正しい設計図面があるかを確認したうえで専門家に依頼することが必要になります。

採光不良の物件

違法建築物として2番目に多いのは採光不良の物件です。建築基準法では採光のための開口部を居室に設置することが義務付けられています。居室面積の7分の1以上の採光に有効な窓を設置することが必要です。

このように解説すると、実際に日光が入ってくる窓が設置されていないといけないと感じる人がいるかもしれません。しかし、北向きで1日中陽が当たらない窓でも、面積などの条件を満たせば採光に有効な窓として認められます。

違法建築として多いのは窓の面積が不足しているケースです。採光に関しても、確実に確認するためには建築士などの専門家に依頼するのがおすすめです。

その他注意すべきポイント

建物の遵法性を確認できたとしても、構造に問題があるまたは問題が発生する可能性のある建物があります。

木造物件のシロアリ被害

木造物件の購入を検討する時には、必ずシロアリ被害の有無を確認することが必要です。気づかぬうちにシロアリの被害が拡大すると、柱や梁などの構造部分が欠損し、最悪の場合は建物が倒壊する可能性もあります。

例えば関東ではヤマトシロアリというシロアリが多く、ヤマトシロアリの活動時期は4月~5月です。年中活動しているわけではないので、検査しても時期によってはシロアリの存在を見過ごしてしまうことがあります。

近隣に林がある・風通しが悪い場所に建っているなどの物件では、シロアリが発生している可能性もあるので要注意です。特に床の沈みがあったり床鳴りがしたりする場合は、事前の検査を要します。

傾いている低層アパート

低層アパートは市場に多く流通している種類の収益物件です。大きな地震や液状化などの災害がない限り、建物が傾くということが取りざたされることはありません。しかし、低層アパートはマンションなどと比べて傾くことが多く、決して他人事とは言えないため要注意です。

過去に大きな問題となり報道されたことから、構造計算という言葉を知っている人は多いのではないでしょうか。一方で、建築される全ての建物について構造計算が義務付けられているわけではありません。低層アパートは建物の規模によっては構造計算が不要です。

建物が傾く原因として最も多いのは、地盤が弱いために建物が沈んでしまうことです。建物の構造などには問題がなくても、地盤が弱いと傾いてしまうことがあります。

平成12年の建築基準法改正により、現代では建物を建てる時には地盤調査が必要です。つまり、平成12年以前に建てられた低層アパートについては、地盤に関する入念な確認が必要になります。

なお、違法建築物と同じで建物の傾きも簡単に是正できる問題ではありません。万一入居者が入った後に発覚した場合などは、健康被害などを理由に訴えられてしまうことも考えられます。

地盤に関する確認とともに、売主や仲介不動産業者へのヒアリングが必要です。どうしても判然としない場合は、やはり専門家へ確認を依頼するのが安全と言えます。

まとめ

不動産投資の物件選びにおいて、物件の立地や収益性などについて確認する人は多いものです。その一方で、専門的な知識を要することも相まって建築的な側面から安全性を検証する人はあまり多くありません。

しかし、建物の遵法性や安全性に関する確認を怠ると、後で取り返しのつかない致命的な失敗の原因となることが起こり得ます。失敗を防ぐためには、わかりにくいからと言って敬遠するのではなく、最低限の知識を身につけるとともに専門家の手を借りることが必要です。


【関連リンク】その他の本はこちらからご確認ください。



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2019年3月4日発行

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監修者プロフィール

  • 人物

    小川 進一

  • 氏名

    小川 進一

  • 保有資格

    • ・(公認)不動産コンサルティングマスター

    • ・相続対策専門士

    • ・不動産エバリュエーション専門士

    • ・宅地建物取引士

    • ・賃貸不動産経営管理士

    • ・定期借地借家プランナー

  • プロフィール

    不動産一筋35年!成約件数述べ5,000件以上。
    自身も都内に複数所有している実践大家。

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