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家主さんのお悩み解決 「出口」から考える 賃貸経営の収益改善計画

家主さんのお悩み解決 「出口」から考える 賃貸経営の収益改善計画

佐久川 靖行 (著)

2015年8月25日発行

不動産の賃貸経営を成功させるためには、黒字を維持することが重要なポイントです。多くの人は「良い物件を探すこと」に目を奪われがちですが、物件を購入した後に収益を保つことも、成功のためには同じくらい重要なポイントであると言えます。

この記事では、特に賃貸経営の初心者には見えにくい賃貸経営のコストと、収益を維持するために重要な空室対策について解説します。

不動産の賃貸経営を経験してみないとわかりにくいポイント

不動産投資は事業経営であり、収益を保つためにはコストカットが重要なポイントです。しかし、コストと税金の関係や経営期間の長期化に伴う変化など、賃貸経営を経験してみないとわかりにくいポイントはたくさんあります。

ローンの返済方法と税金の関係

長年賃貸経営を続けながら利益を上げていくうえでは、コストカットが不可欠です。そして、物件を購入する時に利用したローンの返済は、賃貸経営における代表的なコストの1つと言えます。

物件購入に際してローンを利用するのは一般的であり、金利について気にする人は多いものです。なお、想定利回りが高い物件であっても、例えば返済金利が3%以上などになる場合は、借入額を抑えるなどの対策をしないと毎月の利益が残りにくくなります。

注意すべきポイントはローンの返済方法です。不動産投資ローンの返済方法には「元金均等返済」と「元利均等返済」の2種類があります。不動産の賃貸経営においては「元利均等返済」を選択するケースが多いものです。

元利均等返済を選択すると「元金と利息を合わせた金額」が返済期間中一定になります。一方で「元金均等返済」は毎月の元金返済額が一定になるというもので、返済期間の経過に伴い毎月の支払利息が減っていきます。

なお、元利均等返済の場合は毎月の合計額が均等になるものの、返済開始当初は支払利息の方が多く設定されている点に要注意です。元金均等返済の場合は、開始当初の元金と支払利息の金額が大きく、返済が進むにつれて支払金利と合計額が徐々に減っていきます。

支払金利は不動産投資の経費として計上可能です。その一方で、元利均等返済を選択すると、毎月の支払金利がどのくらい減っていくのか把握しづらくなります。

支払金利が減っていくということは、支払金利の経費計上によって節税できる税金が減っていくということであり、不動産投資を続けるにつれて所得税や住民税が増えていく点には要注意です。税金が膨らんでいくと、いずれ賃貸経営の収支が赤字に転落するタイミングが訪れます。

それならば、リスク管理のために元金均等返済で返済していけばよいのではと考える人もいるかもしれません。しかし、元金均等返済で返済をスタートすると、賃貸経営を開始した当初から赤字収支になることが大半であり、あまり現実的な方法とは言えません。

賃貸経営の長期化に伴ってコストアップするポイント

ローンの支払金利と税金は、賃貸経営を長期的に続けるうえで要注意のポイントです。もう1点注意すべきポイントは、賃料の下落と修繕費などのコストアップです。

物件を賃貸する上で適正な家賃は築年数の経過とともに下落していきます。新築の物件が築10年を迎えた時点で賃料が10%下落、築30年の時点で20%下落していることもめずらしくありません。

そのほか、築15年~20年時点では特に給湯器やキッチンなどの設備を交換する必要に迫られます。設備の交換には大きな費用がかかるため要注意です。

仮にローンを利用して新築物件を購入したとすると、築15年~20年くらいの時期は、賃料の下落に加えて支払金利の減少による税金や修繕費の増加が起こるため、収支が悪化しやすくなります。

なお、賃料の下落や税金の増加は目に見えて進むものではなく徐々に進んでいきます。また、建物や設備も一気に古くなるわけではありません。物件オーナーからすると気づきにくいポイントであるため要注意です。

確実な空室対策

不動産の賃貸経営における利益を維持する上では空室対策も重要なポイントです。ここからは著者が提案する空室対策のアイデアをご紹介します。

情報収集と退去対策

不動産業者を含め、賃貸経営における空室対策として誰もが思い当たるのは家賃の引き下げです。しかし、家賃を引き下げるにしても、周辺の家賃相場を把握せずに下げてしまうのは危険と言えます。

なぜなら、空室の原因が家賃だけにあるとは限らないからです。例えば、周辺に自分の物件よりも掃除が行き届いている物件があれば、入居者はその物件に流れやすくなります。競合になる物件よりも目に見えて劣っているポイントがあると、家賃を下げても必ず入居者が入るとは限りません。

空室対策を考える上では、自分の物件だけにとどまらず競合物件の状況についても情報収集することが重要です。例えば空室対策としてリノベーションを施すにしても、競合物件との違いを把握できている方がより適切な方法を取れます。

なお、最大の空室対策は既に入っている入居者の退去を防止することです。通常、入居者が退去する理由と言えば、就職・転勤・結婚などが大半を占めています。しかし、状況の変化がないにもかかわらず入居者が退去するということは、現在の住居に何かしらの不満が合って退去するということです。

入居者が持つ不満はハード面とソフト面に大別できます。ハード面の不満として挙げられるのは、例えばエアコンや給湯器が古く使いにくいなどのことです。ソフト面の不満としては、例えば隣室からの騒音やゴミ置場・駐輪場が整理されていないなどのポイントが挙げられます。

日頃から入居者とコミュニケーションを取りながら不満を解消していけば、同じ入居者に長期間入居し続けてもらうことも可能です。

初期費用に着目する重要性

入居者が入っている状態を維持するためには、現代の消費傾向について把握することも重要になります。例えばスマホの購入費用については、料金を分割して毎月の携帯電話利用料金と一緒に支払っていくのが一般的です。

そのほか、駐車場料金やガソリン代などがかかる車を持つ人は特に都心で減っており、カーシェアなどのサービスが広がりを見せています。

賃貸マンションの入居者は独身の若い人が大半ですが、若い人ほど大金をはたいて何かを買うということをしなくなっている点に要注意です。若い人を入居者ターゲットとする上では、家賃を下げるよりも敷金・礼金などの初期費用を抑制する方が効果的なこともあります。

やみくもなリフォームはNG

賃貸経営における空室対策としてリフォーム・リノベーションをすることは多いものです。しかし、リフォーム・リノベーションを施す上で、その内容・コスト・デザインなどを考えるのは二の次であると言えます。

内容などを検討する前に考えるべきポイントは、リフォーム・リノベーションが完了したら、どんな入居者にどのくらいの家賃で貸すかということです。

両極端な例ではありますが、例えば20歳の学生を入居者ターゲットにする場合と70歳以上の高齢者をターゲットにする場合とでは、施すべきリフォーム・リノベーションの内容が異なります。

また、賃料が10万円を下回るようなワンルームと50万円を超えるような高級物件とでは、設備も部屋の雰囲気も全く違ってきます。

まずは入居者のターゲットを定めてからコンセプトを考えることで、リフォーム・リノベーションをより確実に成功させることが可能です。

まとめ

不動産投資の世界では「出口戦略」という言葉がよく使われており、物件の売却について計画することを「出口戦略を立てる」と言います。出口戦略を立てる上では、収支が赤字になる時期を見極めることが重要です。

出口戦略を定めたうえで運用期間中は確実な空室対策を施せれば、より安定した賃貸経営が可能となります。



家主さんのお悩み解決 「出口」から考える 賃貸経営の収益改善計画

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佐久川 靖行 (著)

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監修者プロフィール

  • 人物

    小川 進一

  • 氏名

    小川 進一

  • 保有資格

    • ・(公認)不動産コンサルティングマスター

    • ・相続対策専門士

    • ・不動産エバリュエーション専門士

    • ・宅地建物取引士

    • ・賃貸不動産経営管理士

    • ・定期借地借家プランナー

  • プロフィール

    不動産一筋35年!成約件数述べ5,000件以上。
    自身も都内に複数所有している実践大家。

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