めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った 恐る恐るの不動産投資
まりお (著)
2022年5月8日更新
不動産投資の手法には様々なものがあり、近年では高利回りの手法として「ボロ戸建投資」による成功例も多く聞かれます。しかし、本当に自分にもそのような投資を実現できるのかと思う人も多いのではないでしょうか。
明確なコンセプトを定めたうえで物件を探せば、地方のボロ戸建投資を安定させることは可能です。この記事では、地方都市にこだわるべき理由や物件・エリアの絞り込み方などについて解説します。
本書で学べること
不動産投資をするのに地方で物件を選ぶということに対して、ネガティブなイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、ターゲットを絞れば入居者は見つかるという事実や、都心エリアにおける競争の激しさなどを考慮すると、都心よりも地方の方がおすすめです。地方物件の方が良い理由や狙うべき物件の具体例などについて解説します。
都心では、家賃が暴落しているエリアや物件の供給過多になっているエリアなどが非常に増えています。これらの原因は2つあり、1つ目は2015年の相続税法改正、2つ目は大規模金融緩和に端を発したサラリーマン投資家の激増です。
相続税法の改正は、相続税の節税を狙ったアパート建設のラッシュを引き起こしました。既に法改正からだいぶ時間が経っていますが、新築アパートの建築は後を絶ちません。
このため、近年では首都圏で半年かけても空室が埋まらないといったケースも多いものです。空室が埋まらないケースの多くは、狭小物件かつ立地が悪いなどの条件下で建てられた物件です。
また、人口減少は住宅需要の縮小を引き起こしているため、都心では賃貸住宅の需給バランスが崩れているエリアも多くみられます。市場構造がいびつになっているエリアでは、不動産投資を始めるにしても慎重な姿勢が求められるものです。
過度な競争を避ける上では、都心にこだわるよりも地方に目を向けるほうが良いと考えられます。しかし、「地方都市」というと本当に借手がいるのか疑問を感じる人も多いのではないでしょうか。
「地方都市に借手がいない」というのは、人口減少という言葉が引き起こす思い込みのようなものです。不動産投資において物件を選ぶ上では、「人気がありそう」というイメージではなく、そのエリアに入居者がいるのか・のちに自分が物件を売却できる投資家はいるかということを事実に基づいて判断する必要があります。
物件の売却を想定する必要があるのは、不動産投資においては物件の売却が完了した時に初めてその投資が成功したかわかるためです。
地方都市で確実に入居者を入れるためのポイントは、どんな人がターゲットになるかを具体的にイメージして、ターゲットに合わせた条件で貸し出すことです。
具体例を挙げると、例えば「あまり裕福ではないが子どもがたくさんいるファミリー」や「余生を静かに暮らしたい老夫婦」などをターゲットとして設定します。「家賃の割には広い物件」を貸し出せれば、このようなターゲット設定も可能です。
地方の物件を選ぶ上で重要なポイントは「物件価格300万円以内で利回り20%以上の戸建を選ぶこと」です。物件を安く購入できれば家賃を安くしても利回りを取れるため、運用時には地域最安値で貸し出すことが可能になります。
なお、地方で戸建を探す上では、駅からの距離は気にする必要がありません。ただし、入居者探しを楽にするため、平成以降に建築された物件を選ぶことが重要です。
戸建は間取りが広くペット飼育を許可することも可能であるほか、隣家との騒音トラブルもありません。よほど賃貸需要の見極めに失敗しなければ、家賃を下げればまず入居者が入ります。
一方で、戸建投資というと、いわゆる「ボロ戸建」を買ったもののリフォームが上手くいかずに失敗したという失敗談はよく聞かれます。しかし、最初にあまり手がかからない物件を購入すれば、このような失敗は起こりません。
最初にターゲットを絞ってリフォームを施し適切に管理すれば、個別性が強く競争になりにくい戸建物件は空室の心配も少ないものです。
なお、物件探しに当たっては、現地まで足を運んで地元大家のコミュニティに顔を出すのが1番効果的です。コミュニティに参加して地場の地主に気に入ってもらえれば、多くの有益な情報を収集できます。
ウェブで物件を探す場合は、「アットホーム」か「不動産ジャパン」というサイトを利用するのが効果的です。アットホームでは不動産投資家から売却依頼を受けて広告掲載されているケースが多く、不動産会社が物件に関する詳細を把握しています。
他のサイトを利用すると、売主から依頼を受けた不動産会社とは別の「客付け業者」と呼ばれる不動産会社が広告掲載していることも多いものです。物件の詳細を把握していないケースが多いため、客付け業者からの情報収集は時間がかかります。
不動産ジャパンは他のウェブサイトと比較して物件検索がやりにくい特徴を持っています。検索しづらいということは、他にこのサイトを利用して物件検索をしている人が少ないため、競争を避けることが可能です。
ここからは、地方で物件を探すにあたってエリアの絞り込み方や、融資を利用する時のコツなどについて解説します。
田舎と思われるような地方都市では、賃料相場が暴落しているエリアもめずらしくありません。しかし、全ての地方都市が同じというわけではなく、新幹線など交通インフラの整備によって賃料を保っているエリアもたくさんあります。
目を付けたエリアにおける賃料相場を確認するためには、SUUMOやHome’sなどの不動産サイトを利用するのが効果的です。ウェブで物件を検索し、例えばワンルーム物件における賃料の最安値が1万円台だったら、そのエリアは避けるほうが良いでしょう。
なお、物件を探す時の心構えとして「周辺相場に合わせた賃料で貸そうとしない」ことが重要です。満室経営をするためには、相場よりも安い賃料を設定することが必要になります。
本書では物件選びの基準を300万円以内と設定している以上、物件購入時の資金調達については、全額キャッシュで購入するのが最も望ましいです。しかし、どうしても資金が足りない場合は、日本政策金融公庫や三井住友トラストなどの融資を利用するのがおすすめです。
特に日本政策金融公庫については、個人でも最大4,800万円程度の融資を受けられます。審査の対策としては、親族が保有する資産などを共同担保に入れて根抵当権をつければ、不動産投資が初めてという場合でも審査を通過しやすくなります。
大手の金融機関から融資を引こうとすると、地方の物件では見向きもされないことが少なくありません。しかし、日本政策金融公庫は地方の物件でも融資してくれる可能性が高い金融機関です。
一方で、返済期間が10年~15年など、他の金融機関から融資を受ける場合と比較して短期間での返済を求められる点には注意を要します。
まとめ
不動産投資というと、莫大な初期費用が必要・不動産会社などにだまされるのが怖いと思う人も多いのではないでしょうか。しかし、地方の中古戸建物件に的を絞れば、それほど多額の初期費用がかからないうえに、だまされる心配も少ないものです。
地方の中古戸建物件は安く大きなお金が動かないので、例えだまそうとしてもうまみが小さくなります。都心で高いマンションを買うよりも、だまされるリスクは抑制しやすいと言えます。
なお、エリアや物件を選ぶ上では、情報収集を怠らずに家賃が値崩れしていないエリアを選ぶことが重要です。そのほか、可能な限り競争を避けて物件を探すことで、初期費用を抑えた高利回りの投資を実現できます。
【関連本】●5万円以下の「ボロ戸建て」で、今すぐはじめる不動産投資!
【関連リンク】その他の本はこちらからご確認ください。
黒崎 裕之 (著)
2018年6月1日発行
人物
氏名
小川 進一
保有資格
・(公認)不動産コンサルティングマスター
・相続対策専門士
・不動産エバリュエーション専門士
・宅地建物取引士
・賃貸不動産経営管理士
・定期借地借家プランナー
プロフィール
不動産一筋35年!成約件数述べ5,000件以上。
自身も都内に複数所有している実践大家。