家主さんのお悩み解決 「出口」から考える 賃貸経営の収益改善計画
佐久川 靖行 (著)
2021年10月17日更新
コロナウイルスの感染拡大によって先行き不透明感が増す中で、「不動産投資で副収入を作りたい」と考えている人は多いです。しかし、最初はどんな物件を買って、その後はどうしていけば良いかわからないという人もいるのではないでしょうか。
この記事でご紹介する「サラリーマンはラクをしろ!掟破りのhorishin流不動産投資術」には、不動産投資の規模を拡大していく手順や利益拡大の方法などが書かれています。失敗確率を減らすためには、不動産投資の手順を守ることが重要です。具体的な手順や物件探しのコツについて解説します。
この本では、「horishin流ヴィクトリーロードマップ」と称して不動産投資で成功するためのロードマップを紹介しています。ロードマップの内容について解説していきます。
まずは「不動産投資でお金を得た後にどうなりたいか?」という明確な目標を定めることが大事です。目標が明確になって初めて実現に至るロードマップが見えてきます。
また、利益拡大を目指す上で重要なポイントは、必ずワンルームマンション投資から始めることです。最初にローンを組んでアパートに投資すると、融資額が大きすぎて追加でローンを利用するのが難しくなります。
反対に、ワンルームマンションから投資を始めれば、融資額がそれほど大きくなりません。与信枠に余裕があるため、後にアパートを購入する時にも融資を引き出せます。
ロードマップにおいて最初に投資するのはワンルームマンションです。ワンルームマンション投資を土台として、一棟アパートや金融商品で利益を拡大していきます。
最初は、ローンを使いながら、都心部のワンルームマンションを相場価格で購入するのが有効です。5〜10年物件を保有した後に売却して売却益を狙います。なお、ワンルームマンションをフルローンで買えれば、数年保有するだけで自己負担なく売却益を狙うことが可能です。
ワンルームマンションに投資すると、毎月の収入はそれほど多くないものの、確実に収入が入ってきます。さらに、都心の駅近など立地が良い物件に投資できれば、物件価格が下がりにくいです。むしろ価格が上がることもあるので、数年保有した後に売却すれば、売却益も狙えます。
この売却益を頭金にすれば、高収益の一棟アパートにも投資できます。あるいは次のワンルームマンションの頭金にして、毎月の利益増額を狙うことも可能です。
特にサラリーマンは信用力が高いので、不動産投資ローンを引き出しやすいです。サラリーマンのうちから投資を始めることで、アドバンテージを得られます。
ワンルームマンション投資で土台ができたら、その次は新築一棟アパートに投資していきます。新築一棟アパートに投資すると、すぐに毎月数十万円の利益が出ます。しかし、アパートは10〜15年程度で大きな修繕が必要です。
RC造のマンション投資では修繕も設備の交換だけで済みます。しかし、アパートは、設備に加えて外壁や屋根なども修繕が必要になるため、修繕費が大きいです。アパートの修繕費を捻出するためには、あらかじめ利益を積み立てておくよりも、ワンルームマンションの売却益を充当するほうが有効になります。
不動産投資の目標が「毎月数万円でも良いので年金がわりの副収入が欲しい」というものであれば、新築アパート投資まで実践できれば十分です。しかし、さらに大きな利益を狙いにいくのであれば、地方の築古アパートを狙って投資していくのが有効になります。
地方の築古アパートは、築年数が法定耐用年数を超えた物件であれば、価格が安いため利回りが高くなります。なお、物件によっては千葉や埼玉など首都圏に立地するものでも問題ありません。
築古アパート投資で注意を要するポイントは、築古ゆえに修繕費がかさむことです。物件購入後に修繕することになるので、これまでの投資でキャッシュフローを貯めておくのが良いでしょう。
不動産投資で堅実に利益の土台を作ったら、さらに利益を増やすために金融商品投資を組み合わせていきます。金融商品投資で元本割れを避けたいのならば、IPO株式投資がおすすめです。
IPO株式投資とは、市場に上場される前の株式を購入して上場後に売却する投資手法を指します。IPO株式投資のメリットは高い勝率です。2015年〜2018年の例を見ると、上場前後で値上がりした銘柄は全体の80%〜90%でした。
しかし、IPO株式は抽選で当選しないと購入できず、当選確率が低いことがデメリットです。当選確率を上げるためには、不動産投資で日頃得ている利益を証券会社の証券口座に預金しておくことが有効になります。証券会社の営業マンから優先的にIPO株式を配分してもらえることがあるからです。
「horishin流ヴィクトリーロードマップ」では、不動産業者のセミナーに参加することや、物件情報をwebで探すことなどを推奨していません。良い物件の情報を得るために重要なポイントは、まず不動産投資の成功者を探すことです。
投資用不動産の物件情報を探すのは難しくありません。しかし、大きな利益が上がる「良い物件」の情報を探すのは難しいです。例えばwebで確認できる物件の情報などは、「目利きの投資家が買わなかった物件の情報」だからです。
良い物件の情報を得るためには、「良い物件を持っている人から情報をもらう」ことが必要になります。良い物件を持っている人は「良い物件を見つける力を持った不動産業者」と付き合いがあるからです。
紹介営業で提案される物件に粗悪な物件はないと考えて良いでしょう。不動産業者からすると、粗悪な物件を提案してしまうと紹介者のメンツを潰すことになってしまいます。良い物件情報を探すためには、まず不動産投資で成功している人を探すことが近道です。
良い物件の情報を見つけるためには、不動産投資の成功者から不動産業者の紹介を受けることが有効になります。しかし、不動産業者も1人だけを相手にしているわけではありません。
より優先的に物件情報を流してもらうためには、営業マンを自分の味方につけることが必要です。営業マンを味方につけるために重要なポイントは以下の3点です。
不動産投資の事業規模を拡大すると、利益が増えるので税金も増えてきます。また、不動産投資を進めていく中で、法人化するタイミングなどについて悩む人もたくさんいます。
税金に着目すると、物件種別によって法人と個人を使い分けるのがベストです。最初にワンルームだけを保有しているときは、所得の上がり幅も小さく、個人の節税効果を期待できるので、法人化の効果は大きくありません。
しかし、一棟ものにシフトして所得が増えると、税金が大幅に上がります。この時点で法人化を検討するのが良いでしょう。法人税の実効税率は、2020年時点で30%前後です。一方で、個人の所得税は累進課税で所得が上がるほど税率も上がります。しかし、法人は利益が増えても法人税が上がりません。
なお、法人での運用は経費の幅が広いので、経費計上の面でも節税効果を期待できます。また、法人で3期に渡って黒字経営を継続できれば、金融機関から融資を引き出すことも可能です。
不動産投資では、住宅ローンと違って金利交渉が可能です。金利は不動産投資にかかる経費の中でも大きな割合を占めるので、引き下げできれば収支を大幅に改善できます。
しかし、金融機関にとってのメリットを提示しない限りは金利の引き下げ交渉はできません。金利は金融機関にとっての収入源であり、金利の引き下げは金融機関にとっての収入切り下げと同じだからです。金融機関のメリットとして考えられるのは、例えば以下のポイントです。
これらは、いずれも銀行の営業マンにとって営業成績と関わりがあります。抱き合わせで金利の引き下げ交渉を持ちかけると、金利引き下げの可能性が出てくるでしょう。
あるいは、他の金融機関への借り換えを示唆するのも有効です。ただし、金融機関の乗り換えはあまり良い印象を持たれないので、使い所の見極めが重要になります。
まとめ
不動産投資で大きな継続収入を得るために重要な最初のポイントは、不動産投資の成功者を探すことです。「horishin流ヴィクトリーロードマップ」は「好立地のワンルームマンションを相場価格で購入する」ことから始まります。
しかし、良い物件の情報は普通に探しても見つからないため、不動産投資の成功者から営業マンを紹介してもらうことが重要です。最初のステップをクリアできれば、物件の売却益を利用して投資規模を拡大できます。
【関連リンク】その他の本はこちらからご確認ください。
horishin (著)
2020年2月22日発行
人物
氏名
小川 進一
保有資格
・(公認)不動産コンサルティングマスター
・相続対策専門士
・不動産エバリュエーション専門士
・宅地建物取引士
・賃貸不動産経営管理士
・定期借地借家プランナー
プロフィール
不動産一筋35年!成約件数述べ5,000件以上。
自身も都内に複数所有している実践大家。