本に学ぶマンション投資

Excelでできる不動産投資「収益計算」のすべて

Excelでできる不動産投資「収益計算」のすべて

玉川陽介 (著)

2017年3月16日発行

投資物件を選ぶとき、多くの投資家は表面利回りと価格を見て判断するでしょう。不動産業者も投資用物件の宣伝にあたっては、表面利回りと価格を大々的にアピールします。

しかし、表面利回りと価格だけを見ていては、実際に投資運用を開始したあとの正確な利益をつかむことはできません。一方で、投資運用に関する細かい指標には理解しづらいものも多いため、ほとんどの投資家はそうした情報を敬遠しがちです。

本書では、不動産投資の検討にあたって把握すべき本質的な指標を解説するとともに、空室期間や原状回復費など、一般論としてあまり提示されない指標についても目安を示しています。

不動産投資の利益計算に関する基本的な考え方

不動産投資における収益は、物件保有期間中の運用益は毎年小さなもので、最終的に物件を売却した時の売却益が最も大きいです。このため、不動産投資の検討においては、物件売却まで完了した後の利益を意識することが重要になります。

また、運用期間中の運用益は以下のように計算されます。

家賃収入 – 運用経費 – 支払金利 = 運用益

上記の計算方法に則って考えると、高い運用益は、高い家賃収入と安い支払金利との差によって生み出されるといえます。なお、キャッシュフローという言葉は、上記数式における運用益と同義です。

なお、運用物件を長期保有していると、減価償却による税務効果が薄れて支払金利も減っていくので、多くの人はキャッシュフローが減少したと考えます。支払金利も不動産投資の経費として計上可能で、税務効果を生むからです。

そして、多くの人は、キャッシュフローが減少すると物件の売り時に入ったと考えます。しかし、キャッシュフローの計算に当てはめて考えると、支払金利が減った分だけ運用益は増えるはずです。

したがって、キャッシュフローが減ったからといって、売却を急ぐ必要はありません。

また、ローンの元本返済は、物件に紐づく土地の持分を積み立てているとも考えられます。土地の持分は、物件の売却によって現金化できる純資産であり、いかに純資産を増やしていくかを考えることが重要です。

不動産投資の収益計算にはNOIを用いる

不動産投資の収益計算には「NOI(=Net Operating Income)」という指標があります。NOIとは、賃料収入から税金を含めた各諸経費を差し引いた金額のことです。差し引きする各諸経費には、以下のものが含まれます。

・想定空室期間による家賃収入の控除額

・建物維持管理費用

・賃貸管理費用

・火災保険などの定額費用

・入居者募集に関する仲介手数料

・入居者退去時の原状回復費用

・住戸内修繕費用

・固定資産税と都市計画税

・その他雑費

これらの諸経費は、物件の立地や種類によって異なるものの、都心に立地するRC造マンションに一棟単位で投資した場合、満室想定賃料の30%前後と考えるのが妥当です。

IRRという指標を理解する

IRRとは「Internal Rate of Return」の略で、日本語では「内部収益率」と表現されます。具体的には「物件売却まで完了した後に残る収益の合計は、物件購入時に支払った自己資金の何%に相当するか」という指標です。

なお、ここでいう「物件購入時に支払った自己資金」には、金融機関からの借入額を含みません。

不動産投資は、表面利回りもしくは、すでに解説したNOIで判断されることが大半です。しかし、不動産投資は賃貸運用して終わりではなく、物件の売却まで完了することによって初めて終わりを迎えます。

物件購入前にIRRまで確認できれば、投資判断の精度は格段に向上します。なお、IRRはExcelで数式を打ち込めば簡単に計算可能です。

 

IRRの計算例

IRRの計算例

毎年の想定キャッシュフローを計算できれば、Excelの関数を利用してIRRを計算可能です。H3セルにはB3セル〜G3セルの合計値が入っています。H4セルの関数を入力すれば、IRRは計算できます。

なお、IRRを計算するにあたり、注意すべき点が1点あります。フルローンを利用する場合はIRRが成立しないということです。

フルローンを利用すると、図で示すB3セルの「初期投資」が0になるので、IRRの計算そのものが成立しません。フルローンを利用する場合や自己資金が極端に少ない場合などは、IRRではなく毎年のキャッシュフローに着目することが必要です。

また、IRR何%以上ならば投資すべきかといった判断基準については、市場環境によって変化します。一定の基準より高いか低いかではなく、複数の物件を比較したうえで判断するのが適当です。

不動産投資には多額の税金がかかる

不動産運用に関する利益は、税引き後の利益を確認することが非常に重要です。税金は、不動産投資にかかるコストの中でも最大のウエイトを占めています。

個人で不動産投資をする場合に発生する税金には、一例として以下のようなものがあります。

税金 課税対象 詳細
所得税 賃料収入 サラリーマンの場合は給与所得と合算
復興税 賃料収入 所得税額 × 2.1%(2037年まで課税される)
住民税 賃料収入 おおむね所得額の10%程度
個人事業税 賃料収入 税引き前利益290万円以上の部分に5%課税
譲渡税 物件売却益

物件売却時の利益に課税される

長期保有と短期保有とで税率が変わる
固定資産税 物件売却益 土地建物それぞれの評価額に対して1.4%課税される
都市計画税 物件売却益 土地建物それぞれの評価額に対して0.3%課税される

 

所得税や住民税は、給与所得に対して課税される税金として認知している人が大半ですが、不動産運用の賃料収入に対しても課税されます。そのほか、固定資産税や都市計画税なども毎年度課税される税金です。

また、サラリーマンの場合は、本業の所得が高いと不動産運用の利益にも高い所得税が課されます。不動産運用の所得は給与所得と合算して税率を判定するためです。

空室期間や入居年数について

ここまで、不動産投資の収益把握においては、経費や税金などについて正確に理解することが重要と解説してきました。

賃貸管理費や税金の一部については、入居の有無にかかわらず発生する経費です。しかし、より正確なシミュレーションをするためには、経費や税金以外にも、入居年数・空室期間・原状回復費などを把握する必要があります。

不動産投資は、一度入居者が入っても、いずれ入れ替わりが発生します。入居者が入れ替わる際には、クリーニングや次の入居者募集など経費・赤字が発生する要素が複数あり、これらもシミュレーションするうえで重要なポイントです。

著者が1,000件を超える投資用物件を分析した結果、東京近郊の投資用物件における各定数は以下のようになります。

項目 単身者用物件 ファミリー用物件
平均入居年数 2.8年 3.5年
平均原状回復費用 賃料の1.7ヶ月分 賃料の2.5ヶ月分
入居者募集期間 1.5ヶ月 1.9ヶ月

ここからは、それぞれの項目について詳しく解説していきます。

入居年数

平均入居年数については、単身者用物件・ファミリー用物件ともに2年〜4年が平均値です。これは、2年を契約期間とした賃貸借契約が多いことと、契約更新には更新料を要求する大家が多いこととに起因していると考えられます。

つまり、入居者の長期定着を図りたいのであれば、契約更新料を無料にすることは有効な手段です。

原状回復費用

原状回復費用は、家賃が安いほど対家賃比率が高くなります。家賃が安いといっても、水回りをはじめとした設備関連の工事費用は安くならないことが原因です。

また、ファミリータイプの物件で入居期間が長期化すると、原状回復費用も高くなる傾向があります。特に、入居期間が4年を超えた場合は、4年以内の場合と比較して値上がり傾向が顕著です。

入居者募集期間

著者が収集したサンプルを分析すると、シングル・ファミリーともに1ヶ月前後で新しい入居者が決まっていることがわかります。シングル物件における入居者募集期間のボリュームゾーンは20日〜40日、ファミリー物件では30日でした。

ちなみに、本書では物件の駅からの距離と募集期間との相関性についても分析しています。分析の結果、駅からの距離が遠ければ募集期間が長引くということは特にありませんでした。

駅からの距離が離れるほど、家賃設定が下がっていることが影響していると考えられます。当該分析は東京近郊の投資物件をサンプルとしていますので、東京近郊では、家賃設定さえ適切であれば、長くても2ヶ月程度で入居者が見つかるといえるでしょう。

まとめ

投資用不動産の購入を検討するとき、不動産業者が作成した収益シミュレーションを見ることになります。

しかし、不動産業者から提示される収益シミュレーションに記載されているのは、NOIまでとなっていることが大半です。本記事で解説したIRRや税金まで網羅したシミュレーションは、まず目にすることがありません。

一方で、不動産投資にかかる経費で最大のウエイトを占めるのは税金であるという事実から、税金がいくらかかるのかを把握するのはとても重要です。

本書では税金を含めた各経費の計算方法が詳細に解説されているうえ、付録でシミュレーションシートをダウンロードできます。ぜひ、投資の検討に役立ててみてください。



Excelでできる不動産投資「収益計算」のすべて

Excelでできる不動産投資「収益計算」のすべて

玉川陽介 (著)

2017年3月16日発行

マンション投資の教科書を運営するジー・ピー・アセットが主催するセミナーのご案内 超入門!! 失敗相談事例に学ぶマンション投資セミナー

場所

新宿駅南口徒歩5分ジー・ピー・アセット
セミナールーム

セミナー情報はこちら

この物件を買うのが
本当に正しいの?

ご検討中の投資物件について、
プロが第三者視点で診断するセカンドオピニオンサービス!

毎月
5名限定

投資物件
無料診断サービス

毎月
5名限定

投資物件
無料診断サービス