本に学ぶマンション投資

不動産コンサルティング(土地活用・売買)の教科書

不動産コンサルティング(土地活用・売買)の教科書

猪俣 淳 (著)

2021年3月31日発行

資産運用というと株式投資や不動産投資などが一般的ですが、広義には相続した土地の運用も資産運用に含まれます。

上物(うわもの)と呼ばれる建物が建っていない場合は特に、土地の運用には多くの方法が考えられるため、どうするのが1番良いのか悩む人も多いのではないでしょうか。

この記事では、土地活用が重要な理由とともに、活用方法を比較するために用いられる指標などについて解説します。

土地活用が必要な理由

土地活用というと難しいことのように感じられるうえ、だまされたりしそうで怖いと思う人も多いのではないでしょうか。しかし、具体的な対策を考えないと、将来的に金銭の負担が重くのしかかることになります。

税金の負担が非常に大きい

土地は建物と同じく不動産の一種であり、特に運用せずとも所有しているだけで税金がかかります。土地が課税対象となるのは固定資産税や都市計画税などです。そのほか、維持管理費用として除草・除雪の費用などもかかります。

なお、土地を持っている人が土地活用を考え始めるきっかけは人それぞれです。しかし、土地を所有するきっかけとして最も多いのは相続であり、何代かにわたって相続を繰り返すケースが多くなります。

つまり、土地活用というと投資的なイメージも強くなるものの、土地活用のスタート地点は以下の心情から始まることが多いものです。

「先祖代々引き継いだ土地を手放すのは避けたいし、できれば子や孫にも引き継いでいきたい。そのために有効な方法は何かないか」

土地を引き継いでいくために避けて通れないのが相続税です。実際に、アパート建築の不動産会社などは「相続税対策」を前面に押し出して営業しています。なお、相続税というと「いざとなったら物納するから土地活用はしなくていい」という人もいます。

しかし、相続税の物納を申請して承認された実績は、2019年にはわずか61件しかありませんでした。理由は物納の条件が厳しくなっていることです。

相続税の物納が難しい理由

相続税の物納が認められるまでには、以下のステップを踏んでいく必要があります。

  1. 亡くなった被相続人が残した財産(債務や葬儀費用を除く)を相続税に充当
  2. 相続人の預金から3ヶ月分の法定生活費を除き、必要額を徴収
  3. 分割払いで延納
  4. 上記3までを経ても全額納税できる見込みがなければ物納が可能に

また、物納しようとしても、境界確定されていない・建物の築年数が法定耐用年数を超過しているなどの場合には物納できません。

物納の難しさや、相続発生後10ヶ月以内という相続税納税の期限などを鑑みると、土地活用によって相続税の納税資金を作る方が得策ということになります。

土地活用における3つの選択肢

土地活用における選択肢は「売る・貸す・借りる」の3つに分けられます。そもそも相続する前に土地を売ってしまえば、相続税を納税する必要はありません。例えば地主の老後に備えるため、土地を売るのも1つの選択肢です。

土地を貸す場合は、アパート経営・マンション経営・駐車場経営など複数の選択肢があります。詳細な説明は省略しますが、最も費用がかかる一方で毎月の収入が多くなるのは、アパート・マンションの経営かコンビニなどの商業施設を経営することです。

「借りる」という選択肢については違和感を覚える人もいるかもしれません。ここでいう「借りる」とは、土地を担保にしてお金を借りることで、事業資金などに充当することを指しています。

相続も見据えた土地活用を考えるのであれば、3つある中で最適な選択肢は「貸す」であると言えるでしょう。

東京都内で賃貸経営が有効な理由

土地を貸す選択肢の中では、集合住宅もしくは商業施設の経営が最も高収益になると解説しました。なぜ高収益になると言えるのか、東京都内でアパートやマンションなどの集合住宅を経営する前提で解説します。

東京都内では賃貸住宅の供給が追い付いていない

当然の理屈ではありますが、賃貸住宅経営を成功させるためには、住宅の賃貸需要が見込めるエリアで経営することが必要です。

コロナの拡大によってリモートワークやワーケーションなど新しい働き方の広がりが注目を集めるものの、統計を分析する限りでは、東京都内での賃貸住宅経営はまだ有効と言えます。

住民基本台帳を時系列に分析すると、2015年~2019年の5年間において、東京都では世帯数が514,449世帯増加しています。その一方で、総務省統計局が発表している住宅土地統計調査によると、東京都の持ち家率は45.8%です。

これらのデータを総合すると、東京都で増加した世帯のうち、278,858世帯は賃貸住宅を必要としていることになります。

賃貸住宅の供給数に目を向けると、2015年~2019年の間に東京都で着工された貸家の数は348,481戸です。ここまでの分析では、東京都内では賃貸住宅の供給過剰が起きているように見えます。

しかし、同期間中に増加した人口が537,339人であることを鑑みると、増加した世帯当たりの人口は1.04人です。東京都内で増加しているのは、その大半が単身世帯であることがわかります。

また、平成30年の住宅土地統計調査によると、東京都の40歳未満単身世帯の借家率は96.1%です。つまり、東京都内で増加した世帯のうち、大多数は住宅の賃貸需要を持っているということになります。

増加世帯に高齢者世帯が全くないとは言い切れないため、仮に増加世帯のうち賃貸需要を持っているのは80%と仮定しても、約40万:約35万で貸家供給数の方が少ない計算になります。

土地活用で本当に儲かるのか?

東京都内における賃貸住宅経営の有効性について統計の分析を用いて解説しましたが、需要があっても本当に採算がとれるのか、不安を感じる人もいるのではないでしょうか。土地活用の採算性を判断するために用いられる指標について解説します。

土地活用による収益の概論的な考え方

土地活用において賃貸住宅を経営するということは、土地の上にアパートもしくはマンションなどの建物を建てることになります。土地を買わなくて良いので建築費だけで済むものの、集合住宅の建設には数千万円~1億円以上などの費用がかかるものです。

できればローンは組みたくない・多少ローンを使っても収益を最大化したいなど、希望する方針は人によって異なります。ただ、土地活用は資産運用の1種であり、数字に基づいて判断するのが最も望ましいと言えます。

資産運用の判断において最も基本的な指標となるのはキャッシュフローです。キャッシュフローとは、毎月の収入から必要な経費を全て差し引いた後に残る、最終的な手残り額のことを指しています。

例えばアパート経営をするのならば、年間の家賃収入合計を計算し、毎月不動産会社に支払う経費・ローンに関する支払金利などを差し引いて計算することになります。

そのほか、ローンの利用額を除く、純粋に自らが投下した金額に対して利益が占める割合はどの程度なのかを計る、自己資本利益率といった指標を確認するのも有効です。自己資本利益率の計算方法は以下のようになっています。

 総投資額 – ローンによる借入額 = 自己資本
 家賃収入 – 管理および修繕の経費 – ローン返済額 = 税引き前キャッシュフロー
 税引き前キャッシュフロー ÷ 自己資本 = 自己資本利益率

最も重要なポイントは土地活用の目的を決めること

土地活用の是非について判断するためには、感情に基づく判断よりも数字に基づく判断の方が重要と解説しましたが、もう1つ重要なポイントがあります。

なぜ土地活用をするのかという点と、土地活用を通じて何をしたいのかという目的を考えることが重要です。土地活用はあくまでもお金を得るための手段であり、得たお金を何に使うのかというポイントが定まっていないと、心の底から納得のいく判断は下せません。

これは土地活用に限らず、シンプルなマンション投資をする時などにも当てはまります。資産運用を通じて何がしたいのか、目的を実現するためにはいくらのお金が必要なのかが定まっていれば、キャッシュフローなどの数字を裏付けとして後悔しない判断ができるようになります。

まとめ

維持管理を要する点や税金の負担があることなどを考えると、土地をただ持っているだけという状態はあまり望ましくありません。特に相続税の負担などは大きいものになります。

土地活用には複数の選択肢がありますが、地域によっては特に賃貸住宅への転用が効果的です。なお、土地活用で後悔しないためには、あらかじめ土地活用の目的を定めたうえで、数字に基づく判断をくだすことが重要なポイントになります。



不動産コンサルティング(土地活用・売買)の教科書

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猪俣 淳 (著)

2021年3月31日発行

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監修者プロフィール

  • 人物

    小川 進一

  • 氏名

    小川 進一

  • 保有資格

    • ・(公認)不動産コンサルティングマスター

    • ・相続対策専門士

    • ・不動産エバリュエーション専門士

    • ・宅地建物取引士

    • ・賃貸不動産経営管理士

    • ・定期借地借家プランナー

  • プロフィール

    不動産一筋35年!成約件数述べ5,000件以上。
    自身も都内に複数所有している実践大家。

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