東京23区の新築マンションで利回り8%を超える! 『最強物件企画』の進め方
塩田 寿弘 (著)
2020年4月7日公開
マンション投資において、収支が明らかになるのは売却後です。当然、利益を最大化(もしくは損失を最小化)するには、安く買うかだけではなく、いかに高く売るかが重要となります。本書「絶対に損しないマンション売却術」は、中古マンション売却の専門会社、株式会社ARCの代表取締役・司法書士 李 永鍋氏がまとめたマンション売却の基礎知識本です。投資家を対象とした内容ではありませんが、マンションを売却する際の注意点についてまとめられており、不動産投資家にも有益な内容となっています。
マンションを売却する流れを大まかに説明します。
まず不動産業者に連絡して面談し、マンションの査定を依頼します。その後、媒介契約を締結します。媒介契約は大きく分けて一般媒介契約(複数の会社と契約できる)か専任媒介契約(その会社だけに委託する契約)になりますが、そのどちらかを選びます。その後、不動産会社が内覧希望者を案内し、購入を希望する場合は購入申込書を提出してもらいます。その後契約条件を話し合い、売り手と買い手で合意できたら売買契約を締結します。最後に決済、引渡しを行います。
マンションを高く売却する秘訣は、業者選びです。
たとえば、高い査定額を提示してくる業者が必ずしもよいわけではありません。その会社は、高い価格を提示して専任媒介契約を勝ち取りたい、そんなケースもあるのです。査定額はあくまで参考価格であり、その価格で売れる保証はどこにもありません。
また、大手企業なら間違いない、というわけでもありません。今では、大手企業でも中小企業でも、REINSという不動産物件検索システムに物件情報を登録して買い手を募ります。全国各地の不動産仲介業者がREINSで買い手の希望に合った物件を探すので、委託先が大手企業でも中小企業でも同じです。企業の大小よりも、不動産は近隣住民が買うケースが多いという特徴があるため、近隣住民への営業力がある企業が適していると言えます。必ずしもそのエリアに強いとは限らない大手企業より、地域密着型の中小企業が適しているケースが多いでしょう。
買い手と売り手双方と取引する(自社の顧客に売り手のマンション購入を薦める)会社も一見よさそうなのですが、この場合も注意が必要です。この場合、不動産業者は双方から手数料を得たいがために、物件情報をREINSに登録しなかったり、他社からの引き合いを断ったりする業者も一部存在します。これでは売れるものも売れません。どんなに大手企業でも、顧客の数はREINS経由で物件を探す買い手の数には適わないのです。
それでは、一体どんな会社に頼めばよいのでしょうか。
まず一つは大型商業施設の開発会社、新築マンションや一戸建ての建設・販売会社、賃貸マンションの仲介会社など数ある不動産会社の中でも「中古マンションの売却が得意な会社」であることです。
そしてもう一つは、1件1件違う特徴がある売り手と物件に、誠実かつ真摯に向き合う会社です。物件の最も良いところを引き出し、注意すべきところを把握し、問題があればきちんと対処し、適正な値段で販売できるように動けないといけません。これに対応するには誠実さや熱意が必要で、事務的な作業を行うのがプロの業者だと考えているような会社は選ぶべきではありません。
マンションが空室であれば買い手の内覧を受けることになります。たとえば売り手は「景色がいい」「緑がキレイ」と思っていても、買い手は「日当たりが悪い」「虫が多い」などマイナスの印象を持つこともあります。売却時に大事なのは、買い手の立場に立つことです。
買い手に良い印象を持ってもらうためには「感じのよい物件」にする準備をします。
玄関はすっきり片付けて、台所など水回りは清潔にしておく。庭付きの物件であれば草木は手入れをして雑草を取り除く。不要な自転車が残っていたら処分するなど、基本が大事です。
法的な問題が残らないようにしておくことも重要です。面倒なことは買い手が何とかするだろう、という売り逃げ意識はいけません。買い手から損害賠償を請求され、弁護士費用や裁判費用、そして膨大な手間がかかることは避けましょう。そのためには、抵当権抹消の準備や権利証のチェックはもちろん、物件を相続しているならば相続登記をしておくこと。そして共有者がいるときは全員の合意を得ておく必要があります。心配なら売却を依頼する業者にすべて相談し、不動産のプロからアドバイスをもらいましょう。業者が信用できないと感じたら、変更するのも手です。後でトラブルになることのないよう、より適正かつスムーズな売却活動を行いましょう。
売却することになったら以下の必要書類を揃える必要があります。
(1)権利証(現在は「登記識別情報」という12ケタのアルファベットと数字の暗証番号になっているが、従来の権利証でもよい)
(2)実印(印鑑登録をしてある印鑑のこと)
(3)マンション購入時の契約書
(4)税金の書類(固定資産税等の詳細がわかるもの)
(5)住宅ローンの明細(毎月の支払額と残債務額がわかるもの)
(6)毎月のマンション維持費が分かる書類等(管理費、修繕積立金、組合費、町内会費などの維持費がわかるもの)
売却に必要な費用についても記載します。
(1)印紙税(売買価格1,000万~5,000万円なら、印紙税は1万5,000円)
(2)譲渡所得税
売却できたら税務署に申告します。ただし次の場合は非課税になります。
つまり多くのケースで税金(譲渡所得税)は支払う必要がないと言えます。ただしどちらも元のマンション取得費から算出するので、その領収書や契約書で証明する必要があります。(証明できないと、元のマンション取得費は売却価格の5%しか認められません)
(3)仲介手数料
マンションが無事売却されたとき、不動産仲介会社に支払う手数料です。
売買価格の3%(+消費税)+6万円(+消費税)が上限です(物件価格が400万円以下の場合)。
(4)司法書士に支払う費用
抵当権の抹消、所有権の移転に対する手続きが必要です。一般的に売り手は抵当権の抹消にかかる費用を負担します。
まずは自分にとっての希望価格を考えたうえで相場感をつかみ、金額を決めましょう。実際に売りに出すと、相場と希望価格にかい離がある場合は売却に時間がかかることが多いです。時間に余裕がないなら、担当者に相談して早急に値下げを検討しましょう。売却に時間がかかっても気にしないならよいですが、供給が過剰になって条件が悪くなり、売り時を逃してしまう恐れが多々あります。
不動産の売却をするとき、不動産会社と媒介契約を締結します。この委任契約には、不動産会社を1社に限定しない「一般媒介契約」と、1社に限定する「専任媒介契約」があります。(専任媒介契約の中でも、依頼者自身が自分で買主を見つけて自由に直接契約できるものと、自由に直接契約ができない専属専任媒介契約があります)。
マンションを高く売るには、1社に限定する「専任媒介契約」が良い。これが業界の常識です。その方が業者も本気になりますし、他社に先を越されるかもしれない「一般媒介契約」と比べて広告や宣伝費用も積極的にかけられるからです。
物件を気に入った買い手から購入申込書が提出されたら、価格等の交渉が始まります。なかなか売り手の希望通りにいかないケースもあり、いくらか値下げを要求されることもあります。ただ買い手も気に入ったから購入申込書を提出しているので、わずかな値下げで決まる可能性も高いです(例えば希望価格が2,550万円だったら2,500万円、もしくは心理的に安く感じるよう2,490万円に下げるなど)。このあたりは心理戦なので、「ここまでなら下げて大丈夫」というラインを不動産業者と相談し、相手の出方をみつつ調整していきましょう。
不動産売買では、契約を証明する手付金の受け渡しがあります。契約から一定期間は、その手付金を払えば、どんな理由があっても契約を解除できます(なお売り手側は、受け取った手付金に加え、手付金と同額を返済すれば契約解除可能です)。
つまり、契約金を高くすれば買い手は契約を解除しづらくなるので、金額は高く設定したほうがよいでしょう。手付金が安すぎないか?そして契約を解除できる期間が長すぎないか?という点に注意しましょう。
まとめ
細々と気を付けることはあるものの、少しでも高い金額でマンションを売却するには、不動産仲介業者の見極めがキーになるかと思います。マンション査定を依頼する前に、ご自身で近隣マンションの相場を一通り調べてみましょう。そのうえで、担当者に査定額の根拠を説明してもらって疑問を残さないようにしてください。一連のやりとりの中で担当者およびその会社が信頼できるか、しっかりご判断いただきたいと思います。
李 永鍋 (著)
2011年5月21日発行
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そのマンションの“市場価値”
過去の賃料や売買価格の推移はもちろん、近隣のマンションの相場や市場に影響を与えるような近隣のマンション建造計画などもチェックしてマンション価格を相対的に評価します。
そのマンションの“売却理由”
よほどに事情がない限り、高利回りで運用できている物件を手放そうと思う人はいません。高い利回りが売り文句になっている物件はなぜオーナーがそのような有料物件を手放そうとしているのかを調査します。
そのマンションの“維持管理”
マンションを長期的に維持する上で大切なのは、定期的な修繕です。建物の共用部を目視確認するためのチェックリストをお知らせします。また詳細の調査をご希望であれば、過去の修繕積立金の使用用途や現在の積立額、長期修繕計画資料を調査します。
※管理組合から調査報告書を取り寄せるには¥5,400かかります。
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