資産運用・節税・相続のための 新・不動産投資メソッド 「じぶんリート」
大林 弘道 (著)
2020年9月14日公開
コロナの広がりによって、不動産投資の世界は今後大きく変わっていくことが予測されます。また、不正融資やサブリースにまつわるトラブルも発生しており、不動産投資の世界は大きな転換点を迎えているといえるでしょう。
今後不動産投資を検討するためには、まず投資家自身の現状把握とライフプランの立案が重要になってきます。
この記事では、コロナの広がりで今後不動産市場がどう変化していくのか、現在の不動産投資業界はどのような問題を抱えているのかなどについて解説します。
コロナウイルスの拡大は世界経済に大きな影響を与えました。不動産投資もまた、コロナによって大きく変わっていくものと考えられます。まず、コロナによって不動産投資は今後どのように変わっていくのか解説します。
コロナで在宅ワークが一般化すると、家族が家にいる時間が増えます。このため、特に子どもがいる家庭では、手狭なマンションではテレワークをするスペースを確保できないこともあるでしょう。共稼ぎで夫婦二人ともテレワークとなれば、なおさらです。
これまで、都内のマンションには、都心にあるオフィスへのアクセスが求められていました。しかし、テレワークの普及で、住宅に求められる機能はアクセスの良さから広さへと変わりつつあります。
そして、広さを重視すると、最大間取りが3LDK程度である都心のマンションには限界があり、戸建ての方に関心が向くようになると予測されます。特に興味関心の的となるのは、都心から少し離れた場所に立地する戸建てです。
テレワークが普及すると、打ち合わせはオンラインのリモート会議などで行うことになります。しかし、リビングは生活感の出やすい場所なので、リビングでリモート会議に対応しようと考える人は少ないでしょう。
このため、リモート会議に対応するための部屋を家の中に確保する必要が出て来ます。いわゆるハウスオフィスのスペースを家の中に作るのが主流となるでしょう。
アフターコロナ・ウィズコロナの時代では、従来のリビング・寝室・子ども部屋に加えて、仕事用の部屋が求められるようになってきます。
ソーシャルディスタンスやリモートワークの広がりに伴い、今後広いオフィスは不要になっていくでしょう。
また、ホテルについては、これまで日本のホテル需要の大半はサラリーマンの出張に支えられていました。そのほか、近年では外国人観光客をターゲットとしたインバウンド需要が売上の多くを占めています。
リモートワークと海外渡航規制の影響で、ホテルの需要は今後減っていくことが予測されており、オフィスやホテルへの投資は転換点を迎えたといえるでしょう。
オフィスやホテルの需要は減ると予測される一方で、住宅については、人の住まいなので常に一定以上の需要が保たれます。なお、都心からのアクセスが1時間程度の郊外にある戸建て住宅は、今後需要が増える可能性があるでしょう。
近年、スルガショックやシェアハウスの投資問題など、不動産投資に関する不祥事が多発しています。これらの不祥事について、どのような問題があったのか解説します。
投資用不動産の販売会社は、売上拡大のために、物件の購入者に融資する金融機関と提携していることが多いです。また、投資用不動産には、実勢価格よりも大幅に高い価格が設定されていることもあります。
物件の価格設定が実勢価格よりも高すぎると、金融機関が審査で算出した物件の担保価値が、価格設定を下回るケースも出てきます。担保価値が価格設定を下回ると、フルローンでの投資は成立しません。
しかし、販売会社は顧客に「フルローンで投資できる」と営業しているため、審査書類を偽造して融資を成立させるという事件が起きました。不正融資に関しては、高すぎる値付けや、強引な営業を進めた不動産会社の影響が大きかったと考えられます。
30年間など超長期の家賃保証を売りとして販売されている投資用不動産は多いです。しかし、近年では不動産会社の一方的な保証額引き下げや解約などが問題となっています。
問題化したケースの多くでは、契約前に不動産オーナーにとって不利となる内容の説明がされていませんでした。また、不動産オーナーも、契約前に契約内容の確認を怠っていたケースが大半です。
十分な説明がされないうえ、契約内容も把握していないままサブリース契約を結んでしまうケースが多発したため、2020年6月に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案」が国会で可決・成立しました。
法整備が進んだために、今後サブリースに関する不当な契約は減る見通しです。しかし、見方を変えれば、国が法整備に乗り出すほど被害の訴えが多かったということになります。
不正融資やサブリースといった不動産投資にまつわる不祥事についてお伝えしましたが、続いてなぜこのような不祥事が起こるのか、不動産投資業界の問題点について解説します。
例えば株式市場などは毎日誰でも値動きを確認できますが、不動産市場は株式市場ほど情報がオープンにされていません。
また、不動産の価格が「1物4価」といわれるように、不動産には様々な価格がつけられています。不動産の価格は、どんな物件も、売り手が自由に値付けできるオープン価格であるともいえるでしょう。
「未公開物件」というセールスコピーで販売される物件もありますが、これは、不動産会社が価格や取引をコントロールしたいがために、情報を公にしていない可能性があります。エンドユーザーが各物件の適正な価格を見極めるのは、なかなか難しいのが現状です。
さらに、不動産投資会社は様々な営業手口で営業しています。昨今多いのは、物件購入者に対して顧客紹介料を支払うというものや、資産作りセミナーで将来の年金不安を煽るといったものなどです。
不動産投資を用いて資産作りを進めることは、将来の備えとして確かに有効な方法です。しかし、不動産投資ならばなんでも良いというわけではなく、投資家自身が物件などを見極める目を持たなくてはなりません。
問題が起こる原因は不動産業界にあることも確かですが、一方で投資家側も不動産投資に対して正しい知識を持つことが必要です。ここからは、不動産投資を検討する前に持っておくほうがよい知識について解説します。
不動産投資はローンを利用して資金効率を上げるのが鉄則と言われています。しかし、オーバーローンやフルローンを利用すると、金利や返済元金が上がりすぎて投資が成立しないことが大半です。
フルローンとは、物件価格を全額融資で賄うローンです。そして、オーバーローンとは、物件価格と物件購入にまつわる諸費用まで加えた額のローンのことを指します。
ローンの比率を上げる場合は、毎月の返済と金利支払いを経ても本当に利益が残るのかどうか、しっかり確認することが必要です。
また、フルローンを利用できると営業されたものの、金融機関による審査の結果、担保評価が足りなかったため不足分をカードローンで補っていたというケースもあります。カードローンは不動産投資ローンなどと比較すると金利がとても高く、家賃収入を圧迫するので、これも投資として成立しません。
ローンの利用は、あらかじめシミュレーションを十分に確認してから進めるのが安全です。また、融資が想定外の融資商品で構成されていないかどうか、確認することが必要になります。
不動産投資のメリットに節税を挙げて営業している不動産会社は多いです。しかし、不動産投資が節税手段として機能するのは、目安として年収が1,000万円を超えている人に限られます。
年収がそれほど高くない人の場合は、仮に税率が下がっても下がり幅が少ないため、それほどの現金を生み出す結果になりません。
また、世間的に年金不安が広がっていることから、不動産投資の家賃収入を年金がわりにしましょうという営業手法を取っている不動産会社も多いです。
しかし、家賃収入を年金代わりにしようとすると、30年後や35年後に収益を生み出せる不動産なのかどうか、物件の見極めが重要になります。通常、年数が経過すればするほど、不動産の維持費は上がっていく傾向が強いです。
30年後など未来の収益を予測するためには、かなりシビアなシミュレーションが必要になります。
生命保険に関しても、不動産の場合は空室リスクなどがつきまとう一方で、生命保険は現金を遺族に残せます。不動産は機能的に完全な生命保険の代わりとなるわけではありません。
不正融資やオーバーローンなどの問題が起こったのは、不動産会社が強引な営業を進めた一方で、自分自身の状況を把握しないままに投資した人たちもいたことに起因しています。
元手を作らず不動産会社から言われるがまま不動産投資を始めようとしても、あまり上手くいかないということを認識しておくべきでしょう。不動産投資はあくまでも資金余力を持ったうえで挑むべきマーケットです。
まずは自分自身の資産を棚卸して、ライフプランを立ててから投資を検討するようにしましょう。
まとめ
不動産投資という投資手法が持つ歴史は非常に古いものです。また、不動産投資は金融投資と比較するとリスクが低いといわれています。
しかし、不正融資やサブリースといった問題が表面化したことは、不動産投資の限界を示しているともいえるでしょう。また、コロナがもたらした先行き不透明感によって、今後の未来予測はとても困難になっています。
不動産投資をするためには、正確な自分自身の現状把握とライフプランの立案が必要です。現状と未来を見据えたうえで余裕があると判断できるのであれば、不動産投資を検討しても問題ないでしょう。
寺岡 孝 (著)
2020年8月28日発行
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